2014年度研究プロジェクト

幅広い知識と教養を身につける教育が重要
北城恪太郎氏

- 起業というかたちに限らず、企業内においても、気づいた課題に対して自律的な解決行動を取る、リーダー人材の育成は重要だと考えています。

北城 リーダーになる人は、高い倫理観を備えていなければなりません。単にマーケティングや営業戦略だけを学ぶというよりは、人間は何のために存在するのか――リベラルアーツというか、まず幅広いことを学ぶべきです。健全な企業活動は、そのうえにあるのですから。本来は、学生時代にもっと幅広い視野と教養を身につけてから、社会に出てきてほしいのですが……残念ながら、日本の教育はそうなっていません。

- 昨今では、そのリベラルアーツの大切さを提唱する経済人や識者が増えていますし、実際、大学の理事長に就任されている方々もいらっしゃいます。

北城 先述した経営者OBが、ベンチャー企業を支援することは素晴らしいことですが、大学の理事長などに就いて学生教育の支援をするのもいいことだと思います。私も今、ICU(国際基督教大学)の理事長をしていますが、大切にしているのは、大学の運営はできる限り学長に権限委譲し、その活動を支援するというスタンスです。
アメリカには約3000の大学があり、そのうち600校くらいがリベラルアーツ・カレッジです。入学時点では学部を決めず、分野を超えて幅広い知識を得たあとに、自分の志望や興味に合わせて専門過程に進みます。日本の大学は先に学部を決めて、1年生、2年生で教養を学ぶ仕組みがほとんどです。もっと、リベラルアーツ教育を重んじる学校が増えるとよいと思います。その先進校であるICUには、社会に目を向け、ボランティア活動に参加したり、開発途上国の支援に出かけていく学生も少なくありません。これからの社会のリーダーに、絶対に必要なことだと思います。

急ぐべきは、受験や教育過程の改革
北城恪太郎氏
- さらに前段階である高校や中学校の有りようについては、どうお考えですか。

北城 教育基本法では、人格の完成が教育の目的だといっていても、保護者の目が向いているのは大学受験のことばかり。他方、高校にしても、どこの大学に何人入れたかが世間の評価基準になっている。だから、受験を変えないと中・高の教育も現状から脱却できない。社会の価値観を変えるには、東大などの有力大学が、点数だけで学生を選ぶ入学者選抜をやめればいいんです。そうすればほかの大学も倣うし、保護者の意識も変わってくると思います。

- 北城さんご自身も、経済同友会の教育の委員会を通じて、教壇に立ってこられたわけですが、現場でお感じになることは。先生方との接点もあると思うのですが。

北城 教員の育成も重要で、私は、組織運営や人材育成の能力を持つ校長先生が、責任を持って教員を育てるべきだと考えています。教育委員会は人事権を持つにしても、もっと後方支援に回って校長先生に権限委譲をしたほうがいい。さらに、40歳前後の若い校長先生を登用すべきです。20年ぐらい教員を務めていれば、ある分野を教えることに情熱を持つ人、組織運営に力を発揮する人などの適性がわかってくるので、もっと早くに適材適所の人員配置をすればいいのです。今、ほとんどが50歳を過ぎてから校長になっています。それでは遅いと思います。

2015年02月12日