「社会課題に気づき、我が事ととらえる」―― 8人はいかにしてリーダーとなったか
次に、各期に共通した“リーダーをつくり上げる要素”を見ていこう。
繰り返しになるが、われわれは、ある人が社会リーダーたり得るには、まず「社会課題に気づく」ことと、その「社会課題を『我が事』としてとらえる」ことが必要だと考える。
さらに、それぞれを可能にするのが、2つの思考特性である。つまり、社会課題に気づくためには、「社会を見つめる」こと、「(社会の)よりよい形を思い描く」ことが重要であり、社会課題を我が事としてとらえるには、「人と違うことを恐れない」ことと、「自己を肯定する」ことが必要だと考えた。
Chart3を見ていただきたい。



これは8人の社会リーダーをリーダーたらしめたものを、大きく3つ(①学びの場・素材、②家族・親族、③艱難辛苦(かんなんしんく))に分類し、さらに細分化したうえで、それぞれが、われわれが社会リーダーの必要条件と思考特性として挙げた項目のどれに関連するかを説明した図である。黒丸(●)が深い関連を表している。われわれはその他に、社会リーダーとしての行動特性も抽出したが、リーダーの前半生を見るのだったら、思考特性までで十分と考えた。

友人・同級生の影響は少なく大きく効いているのが欧米体験
こうして見ると、時代区分による違いというよりは、むしろ共通項が目立つ。
教育熱心な家に生まれ、父や兄弟の影響を色濃く受け、私塾も含めた学校に通い、しかるべき師に出会う。既に書いたように、若い頃、人生を変える書物にも出合っている。興味深いことに、友人や同級生からの影響は8人とも顕著ではなかった。若い頃に、病や孤独、差別といった人生の辛酸をなめさせられた人も多い。それは大きな糧ともなった。

特筆すべきは、留学・修業を含め、海外に渡ったことが大いに効いていることだ。アジアで従軍した中内と佐橋も、日本という国を外から見たわけだから、海外経験を積んだともいえる。社会リーダーになるのには、海外体験が大きな鍵を握っているようである。
そこで目指すべき理想を発見して帰国し、賛同者を増やしていく。森・賀川・鮎川がまさにその図式にあてはまる。
外を見るという意味では、キリスト教の影響もある。鮎川は小学生の時に宣教師に接している。社会運動家・賀川は敬虔なクリスチャンであった。キリスト教なかりせば、社会運動家・賀川はなかった。キリスト教の持つ社会改革志向の強さを改めて実感する。

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