改革期のリーダーは、社会課題を書物や実体験から知る
改革期と調整期では何が違うのか。具体的には、社会リーダーをリーダーたらしめる“苗床”はどう違ってくるのか。格好の指標となるのは、彼らが影響を受けたという書物だ。 社会リーダーになるには、社会課題に気づくことと、それを我が事としてとらえ、解決に向けて行動すること、その2つが重要であるとわれわれは考える(Chart2「社会リーダーの必要条件と特性」参照)。



改革期において社会課題は明確である。時代がどちらに向かっているか、鋭敏なアンテナを持っていれば、すぐにそれを察知できるからだ。
森はその課題を、幕府が禁書としていた林子平の『海国兵談』によって把握した。ロシアによる日本侵略の可能性とその防御策がそこには書かれていた。それを通読した森は、海外の諸事情を学ぶことと、洋学の必要性に目覚めたのである。
福沢は蘭学塾の優等生であり、のちに英語も自家薬籠中のものとしたから、それこそ、欧米で出版された本を山ほど読み、日本が解決すべき社会課題を同時代の誰よりも適確に把握していた。

同じ改革期のリーダーとしては、中内・佐橋がいる。しかし、この2人には、森や福沢のように書物という形で社会課題が簡単に示されたわけではなかった。後で述べるが、特に中内の場合、生きるか死ぬかの過酷な従軍体験が「餓えとは無縁の豊かな社会をつくる」という志に結びついたのである。



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