Introduction 1

あなたのキャリアを、
「広げる×深める」の曲線で表現してみてください。

ひとのキャリアは、これまで経験していないことに取り組み、自身の幅を広げる時期と、ある分野やテーマなど、自身の専門性を深める時期に分けることができます。そして、その時期は明確に二分されるというより、ある時までは広げていたけれど、ある時を境に、深める方向に転換するような緩やかな変化だと考えられます。そして、その変化の仕方は、時代とともに変わっているはずです。

社会が徐々に成長を遂げていた昭和の後期を想定してみましょう。この時期は、会社に雇用されるという働き方が一般化した時期。また、多くの会社が、会社の成長・発展に合わせて、高校や大学で学んできたことと特につながりのない部門や仕事に配属したり、それまでの仕事とは関係のない仕事へと異動させることが一般化した時期でもあります。だから、多くの人は、会社に入り、これまで経験していないことに取り組み、自身の幅を広げるという時期を長く続けていました。ですが、キャリアも中盤を迎えると、それまでの仕事経験を通じて何らかの専門性を見出し、その専門性を軸に、キャリアの後半を「深める」期間として過ごしていく人が主流を占めていたように思います。つまり、「広げる」から「深める」へ。ひとつの大きなサイクルを回すというキャリアです。

平成の時代に、そのような状況に変化が生まれました。経済成長の終焉、グローバル化の進展、テクノロジーの進化。大企業の消失・解体が当たり前のものとなりました。仕事にも激変が訪れました。多くのひとは、穏やかにワンサイクルを回すキャリアからの離脱を余儀なくされました。そして、平成の世は終焉を迎え、新たな元号のもとで、人生100年時代がスタートを切ります。マルチサイクルでキャリアをデザインする時代が本格化するのです。

text:豊田義博
「マルチサイクル・デザインの時代」レポートPDF版

2019年05月08日