それでも、中国人が悪いのか? ― ワークス研究所 主幹研究員 豊田義博 (2011年9月28日)
2011年8月に発表された第7回日中共同世論調査(認定NPO法人・言論NPOと中国日報社の共同調査)の結果によると、日本人の中国に対する印象、中国人の日本に対する印象はこの1年で顕著に悪化した。日本人の約8割、中国人の約6割がお互いの国に対してマイナスのイメージを持ち、この1年での悪化の度合いは日本人のほうがより激しいものになっている。 中国が、世界第2位の経済大国となり、日中両国の間では、さまざまな交流が進んでいるにもかかわらず、隣国に対する私たちのイメージや認識は改善されるどころか、悪化しているわけだ。 中国に拠点を置く日系企業での、現地スタッフの評判も、この例に漏れないだろう。「指示した通りに働かない」「報告・連絡・相談がない」「昇進、昇格の権利ばかりを主張する」「仕事ができるようになると辞める」といった指摘は、日本企業が対中投資を積極化した1990年代後半から徐々に高まり、今は、お定まりのものとなっているように伺える。 モチベーションが高い中国人ワーカーしかし、こうしたステレオタイプな中国人ワーカー評がある一方で、「中国人にそのような評価は適切ではない、高いロイヤリティ、素晴らしいコミットを果たしてくれた」という評価をする中国駐在経験者も散見される。 私も、ステレオタイプな評価には、いかがわしさを感じていた。中国人が元々そのような人達なのではなく、私たち日本人の組織や仕事の仕方が、中国人をそのような人達にしてしまうのではないだろうか、という仮説を持っていた。 果たして。上海に働く大卒ホワイトカラー1000名に対する定量調査、24名に対するインタビュー調査を行ったところ、彼らが最も大切にしている意識は「仕事を任せてほしい、任せた以上は、自分自身のやり方で行いたい」「自身を信頼し、意見に耳を傾け、任せてくれる上司のもとで働きたい」というもの。そして、そうした環境を重視する理由は「自身の成長に繋がるから」であり、それが、彼らが頻繁に口にする「発展空間」の実態であり、そういう場には、ずっと居続けたいと思い、それが満たされない場合には、「その代りに賃金や肩書を求める」という構造が明確化された。インタビューの過程では、日本企業の「管理体質」が、彼らのモチベーションを著しく下げていることも、浮かび上がってきた。 才能をつぶしているのは誰か?一人ひとりが、かけがえのないタレントであるとして育てられる国らしい明確な自己主張であり、能力や実績のない新人でさえもこのような意識を持っている点には、「もう少し自己認知したほうがいいのに」と思う部分もあったが、こんなに素晴らしいモチベーションリソースを活かせていないとしたら、それは、場を提供する側に問題があると考えるべきだ、と痛感した。 また、自身を未熟な駆け出しとして捉えるのではなく、ひとかどのタレントとして捉え、自己主張するというスタイルは、中国に限ったことではない。高等教育機関で学び、自身の将来を自身で高く嘱望しているという若者こそが、世界の標準である。そして、日本の若者も、そのような意識を持ち始めている。 さて、日系企業の皆さん。悪いのは、それでも中国人ですか? |







