みんなが早く帰れる組織の「掟」業務の徹底的な改善を愚直に続けるべし/良品計画

現在の良品計画では「18時退社」が徹底されている。本社で18時以降に残業するのは、繁忙期でも本社人員の7%以下だ。
2006年の時短取り組み開始時は、「金曜日のみ19時退社」だった。しかし、半年後には「月〜金の全てで19時退社」と決定。さらに2008年には「月〜金・18時半退社」、2014年には現在の「月〜金・18時退社」と、着実に時短を実現してきた。
業務標準化委員会事務局長を務める石崎雅巳氏は、「以前は、遅くまで残業するのが当たり前の社風でした」と語る。そんな同社が時短に成功した秘訣は、3つ挙げられる。
1つ目は「見える化」だ。「部門ごとの残留率を算出し、「部門ごとの残留率を算出し、毎月掲示。また、上司には部下に依頼した仕事を一覧にし、貼り出させています(下図)。こうすることで、誰が、いつまでに、何をすべきかが共有され、業務効率化が図れます」
PCだけで管理せず、表に書き出して誰もが見られる場所に掲示するのがポイント。事務局が点検し、仕事の一覧表が更新されていなければ、部門長に「どうなっていますか?」と注意を促すことができる。
2つ目の秘訣は、上から指示せず、現場に時短につながる業務改善策を考えてもらうこと。
「半年に1度、『生産性を2倍に!ムダを半分に!』をテーマとしたボトムアップ型の業務改善活動に、部門ごとに取り組んでいます。従業員全員が、生産性向上への当事者意識を持ってもらうことが目的です」
そして3つ目の秘訣が「愚直に続けること」。ノー残業デーの取り組みが始まって10年が過ぎたが、今なお18時過ぎになると、残業者を確認する社内見回りが行われている。
「業務改善に終わりはありません。知恵を絞れば、時短に向けてやれることは必ず見つかります。それらを愚直に続けることが、何より大切なのです」

上司が部下に指示した業務をー覧表にした「デッドラインボード」のイメージ。どの上司がどの部下に、どんな仕事を依頼し、いつが締め切りなのかまとめ、実施済みの業務には○をつける。これを上司や部下などが見える位置に掲示し、さらに業務標準化委員会の事務局がチェックすることで、ムダな仕事を減らそうとしている。

Text=白谷輝英 Photo=平山諭

石崎雅巳氏
lshizaki Masami 良品計画 人材育成委員会兼業務標準化委員会事務局長