みんなが早く帰れる組織の「掟」労働時間に「枠」をはめてマネジメント力向上を促す/JXエネルギー

JXエネルギーは2007年、時短に向けた施策「さよなら残業~Action8~」を定めた。その2本柱は、「①早く帰るという意識を高める」「②マネジメントを改革する」である。
9年たった今、全社的に見た総残業時間数が大幅に減ったわけではないと、人事部の魚住顕太郎氏は話す。しかし、20時以降の残業者や休日出勤者数は激減した。残業が特定の社員に集中せず、平準化されたのだ。
注目したいのは、「仕事は遅くとも20時まで」という枠をはめたこと。社員に残業させない仕組みを作ることで、管理職と一般職の双方に意識改革を促した。「所属長が残業を命じない限り、一般職は定時に退社しなければなりません。また2015年から、20時以降の残業は常務の承認が必要になりました。残業に対するハードルを非常に高く設定し、全員に『時間は有限である』という意識を持ってもらったのです」
一方、マネジメント改革の取り組みとしては、管理職が部下に仕事を命じる際に、目的・期限・品質を明確にさせた。
「目的や品質基準を伝えられないまま命令された仕事は、どうしても『過剰品質』になりがちです。そこで、命令時には『いつまで・どこまで』やればいいのか明確にするのが管理職の義務だ、という意識づけを行いました」
限られた時間を有効活用し、部下に残業させないため、管理職は誰にどれくらいの仕事をどう割り振るべきか熟考することになる。聞けば当たり前のことのようだが、実際にできている会社は多くない。
副産物もあった。上司や役員が残業を決裁することで、今、どこでどんな問題が起こっているのか、人的資源の配分は適正か、といった課題発見に役立っている。
時間に「枠」をはめたことが、企業全体でのマネジメント力を向上させ、残業の平準化を実現向上させ、残業の平準化を実現したといえるだろう。

Text=白谷輝英 Photo=平山 諭

魚住顕太郎氏
Uozumi Kentaro JXエネルギー 人事部 勤労グループ 担当マネージャー