「人材マネジメント調査2001」は、企業の戦略的人材マネジメントの実態と将来の方向性を把握し、人材マネジメントのあり方が企業業績とどう関連するかを見るための基礎調査として、本年2月にワークス研究所が実施いたしました。
この調査では、人材マネジメントの方針を決定するであろう「経営戦略」を頂点として、「人材マネジメントの基本的考え方(ポリシー)」、「実際のシステムの導入・運用の状況」から「最終的な企業の業績」まで、広範なフィールドにわたり調査項目を設定しています。
その概要がまとまりましたので、掲載させていただきます。
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〜人材マネジメントポリシー〜
【日本企業の平均的な考え方】
過半数の企業の回答を平均的な企業像とおくと、
●雇用の面において新卒を重視し、全員を長期雇用の前提で採用し、会社への忠誠心を重視する。
●処遇面では、金銭的処遇を重視し、業績の反映は短期の処遇に反映し、勤続年数は昇進・昇格の判断材料にしない、賃金決定には成果や業績を強く反映する。
●業績悪化時に、雇用は可能な限り守るが、人材開発の費用は削る。
●能力開発の責任は個人にあると考えている。
〜カルチュア・マネジメントと組織運営ポリシー〜
【価値観や企業文化の共有】
●6割以上の企業が共有されていると回答するも、明確に共有されていると回答した企業は2割を切る。
【共有のメソッド】
●7割以上の企業が、入社後の教育で育成していく方針である。
●共感性を採用基準している企業は少ない。
【企業戦略やビジョンの社員への伝達】
●従業員に伝達している企業は8割、明確に共有されていると回答した企業では3割を超えており、価値観や文化の共有よりは浸透している。
●伝達されていない企業は1割に満たない。
【組織運営の考え方】
●トップが各論まで設定している企業は3割に満たなく、7割強の企業は各論の設定を現場で委譲しているようだ。
〜評価や考課に関して〜
【評価・考課で重視する要素】
●管理職においては業績・成果、役割・職責を重んじ、知識創造や個人の市場価値は評価対象要素ではない。
●総合職では業績・成果とならんで、発揮能力、取組姿勢が重んじられ、個人の市場価値を評価対象要素としている企業はすくない。
●専門職においては、発揮能力、業績・成果の順に重視されている。人材タイプと相対的に見ると知識創造を重視している割合がたかく、また最も市場価値が、評価において重視されているタイプである。
●現業職・専任職では取組姿勢、発揮能力の順に重視される。知識創造や個人の市場価値を重視する割合は低い。
【評価制度の変更に伴う他の制度との連動性】
●最もリンクしているのは、昇進・昇格と給与制度、次に教育訓練制度。
●労使関係制度についてはほとんどリンクしておらず、福利厚生もあまり関係しない。
【業績格差と給与格差のリンケージ】
●管理職で現状が119%、理想が139%、スペシャリストでは現状が118%、理想が138%と平均値の傾向は似通っている。
【目標管理制度(MBO)実施の有無】
●目標管理を実施している企業約8割強
〜制度変革〜
【最近10年間の人事制度の改変】
●導入・着手の高い順に、1.自己啓発への援助・優遇措置制度、2.役割給・職責給・職務給、3.正社員以外の雇用形態から正社員への登用制度、4.スキル開発への援助・優遇措置制度、5.裁量労働制・フレックスタイム制。
●導入結果に満足している制度は、満足度の高い順に、1.メンタリング・コーチング制、2.新卒(大卒)社員の職能別採用、3.基幹業務への契約社員の採用、4.30歳代などの早い段階での抜擢人事制度、5.正社員以外の雇用形態から正社員への登用制度。
●導入していない企業が、導入予定を検討しているものは、導入予定の高い順に、1.自己啓発への援助・優遇措置制度、2.役割給・職責給・職務給、3.スキル開発への援助・優遇措置制度、4.30歳代などの早い段階での抜擢人事制度、5.コンピテンシーを基礎にした評価・処遇制度。
【過去5年間の人事制度変更の目的で重視されたもの】
●7割の企業が成果・実績主義への転換と回答。次いで年功型の給与システムからの脱却(58.8%)、貢献度に応じた賃金格差の拡大(56.7%)と、既存人材に対する金銭的な処遇への対処の目的が上位を占めている。その次に、即戦力重視の人材獲得(27.0%)、多用な雇用形態の積極的活用(24.3%)など、労働力の調達や活用が続く。
【今後5年間の人事制度変更の重視目的】
●過去5年間の人事制度変更の目的と同様に、成果・実績主義への転換(63.1%)、貢献度に応じた賃金格差の拡大(60.8%)が最も高く、従業員の成果・実績に基づいた適正な賃金が大きな課題となっているようだ。
●過去5年の実施の目的としては低かったが、従業員の働きやすさの拡大が、今後の目的としてみた場合、増加している(35.0%)。
調査概要
【調査目的】「企業の戦略的人材マネジメントの実態と将来の方向性をとらえ、そうした企業の人材マネジメントのあり方が企業業績にどう関連するかをみるための基礎調査」とする。また、本報告書においては、企業属性に基づく回答の差異を中心に俯瞰する。
【調査対象母集団】ワークス研究所所有の企業マスターを対象とした。
【サンプリング】上記企業マスターより、全国の法人を、資本金、従業員数、1999年の売上高、の3つの基準でランキングし、それぞれの上位8000社を対象とした。
【調査数】発送11,793通 期間内回収515通
【調査期間】2001年2月16日〜3月9日(ただし、期間延長して4月6日消印まで有効表とした)
【調査方法】質問紙郵送法
【調査監修】守島基博(一橋大学 大学院 商学研究科 教授)
【調査協力】日本人材マネジメント協会(JSHRM)