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 Works University
―労働政策講義― Works Institute
リクルートワークス研究所
第9回講義
若年就業支援
1 イントロダクション
2 日本の若年就業支援策 ―若者自立・挑戦プラン
3 イギリスにおけるニート対策
4 今後の課題
資料編
参考資料
1 イントロダクション

(1) なぜ若者の就業を支援する必要があるのか
 「定職」に就かない若者が増えている。フリーターという言葉はいつ市民権を得たのだろうか。職業を尋ねられて何のためらいもなく「フリーターです」と答える者、将来就きたい職業が「フリーター」だと言う学生、無業・無職であることさえ「ニート」というカタカナ言葉に置き換えられ、定職に就かないことに対する罪悪感は薄れてしまったようにすらみえる。
 フリーターやニートの増加は、人口構造の変化、若者を取り巻く環境の変化、社会の高度情報化、若者の職業に対する意識の変化が影響しているという。また、若者が職業能力を身につける機会が少ないことも原因だとされる。
 不安定で不定期な雇用に就く若者が多い一方、仕事に就きたくても就けない若者も少なくない。 15歳から24歳までの若年層の完全失業率は8.7%と高水準である(2005年現在)。
 深刻な少子高齢化により日本の労働力人口が減少することは残念ながら避けられない。競争力・生産力を維持する重要な働き手となるべく若年層が働く意欲を持ち、職業能力を高めていける制度を作らなければ、日本の経済力は弱まり、社会不安は増大するに違いない。ここ数年、政府が若者の就業支援に力を注いできたのにはこのような背景がある。

(2) フリーター
 一般に若年とよばれるのは15歳から34歳までの年齢層である。フリーターとは「(1)パート・アルバイトの非正規社員、(2)完全失業者、(3)通学・家事者を除いた無業者のうち就業意欲をもつ者」と定義されている*1(厚生労働省による)。フリーターの語源は、フリーアルバイターを略した造語で、1987年にアルバイト情報誌「フロム・エー」が使ったのが最初だとされている。  総務省統計局の労働力調査によると若年のフリーター数は201万人である(2005年現在、総務省2006)。この年齢層に占めるフリーターの割合は11.2%である。フリーターの数はピークであった2003年(217万人)以降、徐々に減少しているが、派遣社員や契約社員といった非正規雇用に移った者も少なくなく、正社員の数は必ずしも増えているわけではない。  フリーターとしての経験が職業経験として認められ、フリーターから正社員に転向する際に企業がプラスに評価するのであればよい。しかし、厚生労働省の雇用管理調査によると、約3割の企業がフリーターを正社員として採用する際にマイナスに評価すると回答しており(労働経済白書2006)、フリーター経験は職業経験として認められにくいと考えた方がよい。  若者側の都合だけでフリーターが存在しているわけではない。安価で労働力調整弁的な役割としてフリーターを利用する企業が存在するからこそ、若年層の1割を超す者がフリーターとして働いているという事実を見過ごしてはならない。  欧米諸国にはフリーターという定義はないが、パートタイムとして働いた経験はフルタイムの労働時間と比例配分して計算されるのが通常である。フリーターの職業能力を高める機会を増やしていくのも重要だが、企業におけるフリーター評価を改めるよう促していく必要もあるだろう。  さらに、若年フリーターがフリーターから正社員に移行できなければ、フリーターのままで離転職を繰り返し「年長フリーター」となるおそれもある。厚生労働省は2007年度の概算要求で、「年長フリーター」の常用就職支援を打ち出し、職業訓練システム」の創設や新たな職業訓練コースを開発することをあきらかにしている(厚労省予算2006)。

(3) ニート
 ニートという言葉は、1999年にイギリスの内閣府が作成したBridging the Gapという調査報告書が言葉の由来であり、いわゆる「学校に通っておらず、働いてもおらず、職業訓練を行っていない者」(Not in Education, Employment or Training)のことを通称している(海外情勢報告2005)。日本では厚生労働省がニートにあたる存在を「若年無業者」とし、「非労働力人口で家事も通学もしていない若者(15〜34歳)」と定義している。2005年現在の若年無業者の人数は64万人である(労働経済白書2006)。  一方、内閣府は無業者について「高校や大学に通学しておらず、独身であり、普段収入になる仕事をしていない、15歳以上35歳未満の個人(予備校や専門学校などに通学している場合も除く)」と定義し、これを(1) 求職型(無業者のうち就業希望を表明し、求職活動をしている個人)、(2) 非求職型(無業者のうち就業希望を表明しながら、求職活動はしていない個人)、(3) 非希望型(無業者のうち就業希望を表明していない個人)の3型に分類している(内閣府2005)。  ニートの問題は根深く、深刻だ。ニートが増加すると、ミクロ的には個人間の所得格差が拡大し、マクロ的には個人消費の低迷や税収の減少により、国や地域の中長期的な競争力の低下を招くことになる。また、収入がなければ経済的な自立が困難になるため、晩婚化、未婚化が進み、少子化が加速することも懸念される(福井県2005)。  政府はニートの問題を解決すべく、2005年に「若者自立塾創出推進事業」を立ち上げるなど、さまざまな施策を展開しているが、はっきりした効果は今のところみえていない。ニートに就労意欲を持たせて、就職させるという方策に加えて、ニートになる前の対策、つまり学校や家庭において子どもに集団生活の中での生活訓練や労働体験を積ませる機会をさらに増やすことも必要だろう。
フリーター定義(厚労省・内閣府)
注)
・厚生労働省定義フリーター:(1) パート・アルバイトの非正規社員、(2) 完全失業者、(3) 通学・家事者を除いた無業者のうち就業意欲をもつ者(女性については未婚者に限定)。
・内閣府定義フリーター:15-34歳の若年(ただし学生と主婦を除く)のうち、パート・アルバイト(派遣社員等を含む)及びはたらく意志のある無職の人。
(参考 厚生労働省「労働経済の分析」、内閣府「国民生活白書」、社会実情データ図録「フリーター及びニートの概念図」)
年齢階級別フリーター数およびその各年齢人口に対する比率
年齢階級別非正規従業員およびその各年齢人口に対する比率
年齢階級別若年無業者数およびその各年齢人口に対する比率
(以上、出所労働経済白書2006)
無業者とその内訳の推移 (万人)
(クリックで拡大)
(出所 内閣府2005)
(2006年10月20日掲載)
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