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 Works University
―労働政策講義― Works Institute
リクルートワークス研究所
第7回講義
外国人労働者問題
1 イントロダクション
2 外国人労働者受け入れの意義と問題点
3 諸外国の取組と誤算
4 国際人材交流の可能性と展望
資料編
参考資料
4 国際人材交流の可能性と展望

(1)不法就労者対策と専門技術労働者の受入れ
 どの先進国も不法就労者・不法移民対策を強化し、単純労働に従事する外国人の数を制限しつつも、高い専門性を持つ技術者の取り込みには積極的である。これまでのところ、アメリカは、技術者の取り込みには成功したが、不法就労者・不法移民対策は難航している感がある。ドイツは、グリーンカード計画によりIT技術者を国外から確保しようとしたが、目標の数値を達成できず、不法就労者・不法移民対策も万全ではない。しかし、日本の対応はさらに遅れている。不法残留者の数は平成5年(1993年)の29万8,000人から、平成18年(2006年)には約19万人と減少しつつあるが(法務省入国管理局「本邦における不法残留者数について(平成18年1月1日現在)」)、不法就労者の数は、明らかになっているだけで、4万5,000人前後という高いレベルでここ数年推移しており(法務省2006)、一向に減少する気配がない。
 一方、技術者の取り込みに対してはアメリカやドイツのような積極的対策を導入することもなく、完全に遅れを取っている。1994年にアメリカがNAFTAの批准に伴うNAFTA専門職労働者ビザを導入していることや、EUがEU域内の労働移動を自由化し、2006年を「労働者移動年(European Year of Mobility 2006)」として域内の労働者移動を促進していることを含めて考えると(European Year 2006)、日本の外国人労働者政策を含めた労働市場政策の立ち遅れはさらに顕著である。アジア諸国を見ても、台湾が2002年5月に「出入国および移民法改正案」を可決し、外国籍のIT技術者や一般の外国人永住権資格を大幅に緩和するなど(IT技術者は、今後居住年数にかかわらず審査に合格すれば永住権を取得できるようになり、一般の外国人も台湾に7年以上居住し、毎年の居住日数が183日を超えているケースについては、永住権を申請できる。以上、台北経済日報2002年5月15日付)、積極的な政策を導入している国が少なくないにもかかわらず、である。
 もっとも、2005年に策定された第3次出入国管理基本計画は(法務省2005)、専門的、技術的分野における外国人労働者の受入れを促進し、在留期間を伸長することを決定しているため、今後進展していくと期待される。

(2)外国人研修・技能実習制度
 外国人研修・技能実習制度は、開発途上国の人材育成強化を目的に創設された制度であるが(外国人研修制度は1990年に大幅改善、技能実習制度は1993年創設)、技術移転システムの側面と労働力需給システムの側面を合わせ持っている(佐野2002)。日本が受け入れている研修生・技能実習生は、年間約4万8,000人(1999年の数字。前掲佐野2002)。これは欧米諸国が研修生の名目で受け入れている外国人数と比べると、非常に多く(ドイツ2万5,000人、アメリカ3,000人、フランス500人など)、制度として定着している一方、研修・技能実習生の失踪・逃亡や賃金の搾取といった問題も顕在化している。しかし、外国人技能者の雇用は現行法上、難しいため、技能者不足に悩む企業にとっては、利用価値の高い制度である。手続きの簡素化や期間の延長を行い、さらに使いやすく改善しつつ、研修・技能実習生の生活・健康面の管理や就労状況の把握を十分に行うことができるよう、制度を再設計する必要がある。

日本の外国人研修・技能実習制度の概要
  研 修 技 能 実 習
該当在留資格 「研修」 法務大臣の「特定活動」
労働者性 労働者性はなく、就労は認められない 労働者として取扱われる
対象となる職種の範囲 入管法令の要件を満たすもの 62職種114作業(2005年4月1日現在)
処遇条件の明確化 研修時間、研修手当等の条件を定めた処遇通知書を交付する 労働条件に関する雇用契約書又は労働条件通知書を交付する
受入れ機関の保障措置 生活の実費としての研修手当を支払う 労働の対価としての賃金を支払う
時間外・休日従事の適否 時間外・休日研修は行えない 時間外・休日労働は行える
外国人に対する保護措置 入管法令に基づく保護を行う 労働関係法令に基づく保護を行う
傷害・疾病への保険 民間保険への加入が義務付けられている 国の社会保険労働保険が強制適用される

(3)今後のあり方
 外国人労働者に対する日本の門戸が開かれつつあることは間違いない。専門的、技術的分野において外国人労働者を積極的に受け入れていく方向性にあるのは間違いなく、世論も政府の方針に強い反対を示していない。しかし、実際に日本に来る高度人材はあまり増えていない。これは、高度人材にとって日本が魅力的な国ではないからだと思われる。賃金・労働条件や社会的な受入姿勢をみると、欧米諸国の方が魅力的だ。どのようにして高度人材に来てもらうか。在留資格の要件を緩和したり、在留期間を伸長したりするだけでは十分とはいえないだろう。
 他方、単純労働者の受入れについては依然として慎重論が根強い。外国人が増えることで治安が悪化するのではないかという不安は、特に日系人を多く受け入れている地域で深刻のようだ。事実、日系人をはじめとする「(在留資格)定住者」による犯罪は相当数発生している。そのため、法務省入国管理局は、2006年4月より日系人およびその家族が定住者の在留資格を取得する要件に「素行が善良であること」を追加することで、資格審査を厳格化している(平成18年4月29日施行)。
 深刻な少子高齢化を考えると、外国から労働力を受け入れる必要があることは否めない。しかし、外国人労働者が持ってくるのは労働力だけではない。日本と異なる文化、風習、言葉、そして直接の労働力とはならない家族。彼ら・彼女らにとってはどれも大切なものだが、日本社会はどこまで許容できるのか。ただ、日本に来た外国人労働者を最初から拒絶することは避けなければならない。拒絶と排除が悲しい結末を迎えることは歴史的にあきらかだ。外国人労働者の受入れを推進していくと決めた以上、彼ら・彼女らとどのように共存していくかを真剣に考えていく必要がある。
(2006年10月20日再掲載)
1 イントロダクション
2 外国人労働者受け入れの意義と問題点
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