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2 外国人労働者受け入れの意義と問題点
(1) なぜ外国人労働者が必要なのか
少子高齢化に伴う労働力の不足に対応するため。これが、上記の問いに対する答えだろう。日本の人口は2006年にピークを迎え、その後減少に転じると予測されている。そして、2050年には約1億人、2100年には約6,400万人にまで減少すると見込まれている(国立社会保障・人口問題研究所2002)。減少する労働力を外国人でカバーしようというのが、外国人労働者の受け入れを肯定する理由だ。地域や産業、あるいは職種によっては、すでに労働力が不足しているところがあり、日系人労働者に頼っている地域もある。しかし、なぜ日系人は無制限に受け入れるのに他の外国人は受け入れないのか、日系人だけでは数が足らないのではないか、という疑問を投げかけ、国や民族にかかわらず外国人労働者を活動の制限なしに受け入れるべきだという主張も少数派ながら存在している。
しかし、こういった「移民開放」案に対しては、少子高齢化対策として、高齢者の能力や経験をより積極的に活用できるよう定年の時期を60歳から65歳へ延長し(あるいは定年をなくし)、かつ、現在、労働市場に参入していない女性を労働力として確保することを、まず実現すべきだという意見が根強い。国内で十分に活用されていない潜在的労働力を最大限に活用できる社会づくりを図り、そのうえで、労働力が不足している産業や職種に限定してのみ、外国人労働者を受け入れる。このような考えが現在のところ主流だといえるだろう。
(2) 外国人労働者を受け入れた場合のリスク
労働力の移動は、受け入れ国・送り出し国の人口、民族構成、文化、経済状態を変化させることになる。一時的に減少している労働力を補完させるためだけに多くの外国人労働者を流入させると、経済が悪化したときに大量の失業が発生するおそれがある。したがって、国内の労働力需給状況と経済動向を把握し、かつ、民族バランスを図りながら、質と量をコントロールした上で、外国人労働者受け入れを検討する必要がある(三好2002)。
以下、外国人労働者を受け入れた場合の具体的なリスクについて検討してみたい。
(1) 不法就労者問題
不法就労者は、a不法に入国して就労する者、b 在留資格ごとに認められている活動の範囲を超えて就労する者、c 在留期間を超えて就労する者、を意味する。現在、日本は、中間技能職や単純労働に従事する外国人の労働者としての受け入れは認めていないが、在留資格要件を満たす者については量的コントロールを一切せずに受け入れを行っている。そのため、在留期間や資格を超えて就労する不法就労者が多い*5。不法就労者は不法に滞在しているという理由から、悪質な労働ブローカーに搾取される、極端に低い賃金で雇用されるおそれがある。これまでの不法就労者対策が一向に功を奏していない状況で、ロースキルやミドルスキルの外国人労働者を合法的に受け入れることが、不法就労者数にどのような変化を与えるのか、まったく不透明である*6。この点を調査・分析し、量的コントロールを行わないと、不法就労者は著しく増加することになるだろう。
(2) 失業のおそれと社会的対立
労働力が不足したので、外国人労働者に日本で働いてもらうことにする。確かに労働力が不足している間、彼ら・彼女らは強力な助人になるだろう。しかし、経済状態の悪化や企業のリストラクチャリングにより、労働力不足から労働力過剰に転じたらどうなるだろうか。この場合、多くの外国人労働者が失業するだけでなく、日本人も失業するおそれがある。そうなると、外国人が日本人の仕事を奪っているという意識が日本人の中に芽生え、日本人と外国人の社会的対立が生まれるかもしれない。このような社会的対立は、犯罪の温床にもなりかねず、社会不安を引き起こす危険性も持っている。事実、このような問題に頭を抱えている国もあるということを知っておく必要がある。
(3) 社会コストの負担
外国人労働者を受け入れる国は、さまざまな社会コストを負担しなければならない。1992年に労働省(現厚生労働省)の研究会が行った試算によると、50万人の出稼ぎ労働者を受け入れるという想定において、「出稼ぎ期」の外国人が支払う税金や保険料(社会的便益)は3,266億円、外国人が享受する国や地方公共団体のサービスと給付(社会的費用)は806億円である(井口2001)。ところが、出稼ぎに来た外国人労働者が定住し、「定住期」に入ると、この数字は大きく変化する。試算では、「定住期」の社会的便益は3,166億円、社会的費用は6,530億円となっている*7(前掲井口) 。もし、外国人労働者が家族を本国から呼び寄せたなら、社会的費用はもっと大きくなるだろう。 |
| (2006年10月20日再掲載) |
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