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 Works University
―労働政策講義― Works Institute
リクルートワークス研究所
第6回講義
再就職支援
1 イントロダクション
2 公的機関の再就職支援
3 アウトプレースメント(再就職支援事業)とは
4 アメリカにおけるアウトプレースメントの歴史と現状
5 今後の展望
資料編
参考資料
5 今後の展望

 一時は3%台にまで下がったアメリカの失業率もネットバブルの崩壊や2001年の同時多発テロの影響により悪化し、2003年には6%を超えるまでになった。その後、徐々に回復し、現在は4%台半ばを維持している(2006年6月の失業率は4.6%、U.S.BLS)。アメリカの景気や雇用は回復しつつあるとはいえ、経営不振によりGMをはじめ大規模なリストラクチャリングを進める企業や、事業所や工場を閉鎖する企業は少なくない。
 労働者のレイオフに際しては、雇用労働法の遵守や法令に基づく手続き、対象者に支払う退職手当の計算など、煩雑な仕事が多い。このような仕事を一手に引き受けてくれるアウトプレースメント会社は、レイオフを余儀なくされた企業にとって、貴重な存在だ。また、レイオフにより職を失った者も、アウトプレースメント会社のサポートを受けることで、精神的なストレスや不安を軽減される。企業も労働者も将来に不安を覚える経済不況という時代において、経営や雇用調整に関するコンサルティングから、リストラクチャリングの犠牲となった労働者のケアまでを、専門的に引き受けてくれるアウトプレースメント会社の需要は高まるに違いない。
 この傾向は、アメリカにおいてだけでなく、日本においても同様に見られるだろう。公共職業安定所や各地方公共団体が、すべての非自発的失業者に個々の希望や特性を考慮して再就職支援サービス提供することは現実的ではない。雇用保険の積立金残高は2006年度で2兆5,000億円と、02年度の約4,000億円から大幅に回復しているが、問題の多い雇用三事業について見直しが進められている状況下では、再就職支援のための財源を大規模に拡充するのは難しい。公的機関と民間事業者が協力して、再就職支援活動を強化していく以外に方策はないだろう。
 アメリカのような年齢差別禁止法や明確な先任権制度(勤続年数の短い者からレイオフの対象とする雇用慣行のこと)を持たない日本では、リストラクチャリングに際して、まず中高年齢労働者がその対象となることが多い。長年、一企業のために働いてきたにもかかわらず、その企業に解雇された労働者は、経済的に打撃を受けるだけでなく、精神的にも大きな傷を負う。そのような状況で、次の仕事を探すのは決して容易ではない。しかも、現在の日本の労働市場は、中高年齢労働者にとって不利な市場であるため、独力で仕事を見つけるのは至難の業だ。単なる職業紹介だけでなく、行き場を失った求職者にカウンセリングや施設を提供するアウトプレースメント会社への期待は大きい。また、失業期間を最小限に食い止めるためには、企業に在籍している間に、可能な限りの求職活動をしておく必要があるが、それには送り出し企業、公的機関(ハローワークや各地方公共団体)、民間職業紹介所やアウトプレースメント会社の協力が前提となる。
 他方、アウトプレースメント会社への課題もある。たとえば、アウトプレースメント・サービスは、企業から料金を徴収する形で、企業向けに行われているが、個人向けにサービスを展開できるようになれば、市場はさらに拡大するだろう。現行職安法は、職業紹介における求職者からの料金徴収を認めていないが、職業紹介とは明確に区分して実施される求職者サービス(すなわち、職業紹介を前提や条件としない求職者サービスであって、求職者がそのサービスを受けることを自ら希望しているもの)については、所要の料金を徴収することは可能である。一部の派遣会社でもそのようなサービスを提供しているところがあるが、カウンセリングやキャリア開発に強いアウトプレースメント会社であれば、若年者や長期失業者のエンプロイアビリティ向上に一役買うことができると期待される。市場が拡大し、アウトプレースメント会社の数が増えた場合、受注獲得のために大幅なディスカウントをして、サービスの質を下げる業者も現れる可能性があるが、そのような業者は自然に淘汰されていくだろう。1999年12月には、日本再就職支援業協会も設立され(日本再就職支援業協会HP)たほか、再就職支援協議会という団体(再就職支援協議会HP)もあり、日本における適正なアウトプレースメント市場構築の基盤は整いつつある*3
 少子高齢化による労働力人口の減少はもはや避けられず、日本は労働市場の流動化・柔軟化を図り、これまで労働市場に参入していなかった層や、すでに労働市場から引退した高齢者層が、労働市場で活躍できるよう、整備を行う必要がある。そのためには、労働市場分野の規制緩和は必須であるが、それと同時に雇用セーフネットの確立も欠かせない。雇用セーフネットには、雇用保険制度、社会保険制度といった社会保障面の整備だけでなく、労働者や求職者のスキルアップを図るための教育訓練制度の拡充、また、企業と求職者のベストマッチングを可能にするための労働力需給調整制度の構築も含まれると考えるべきだ。職業紹介事業、労働者派遣事業と並んで、アウトプレースメント事業が、近い将来、労働力の需給調整において、重要な民間プレーヤーとなるのは間違いない。
(2006年10月20日再掲載)
1 イントロダクション
2 公的機関の再就職支援
3 アウトプレースメント(再就職支援事業)とは
4 アメリカにおけるアウトプレースメントの歴史と現状
5 今後の展望
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