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4 偽装請負の拡大
請負労働者は、雇用主である業務請負会社から指揮命令を受けるのが基本である。請負労働者の勤務する事業場に顧客企業の管理者がいたとしても、その管理者から指揮命令を受けてはならない。しかし、実際にはこの基本が守られていないケースが少なくない。派遣法の法律上の制限のため、形式上は請負形態をとりながら、実態は派遣形態をとる会社が多いのだ。
偽装請負は派遣法の制定当時からみられ、特に製造業では大手企業において存在が顕著だった。しかし、最近になって偽装請負の広がりが社会問題化し、全国の労働局でも立ち入り調査を強化している。2006年7月31日付の朝日新聞によると、昨年度だけでも、メーカーなど請負を発注した660社のうち、半分以上の358社で偽装請負に絡む問題が発覚し、労働局が文書指導をしている。2005年度までの3年間を見れば指導件数は年々倍増しているが、指導事例は氷山の一角だという。偽装請負が発覚した企業には、キヤノン、日立製作所、松下電器産業系列企業、トヨタ自動車系列企業など、日本を代表するメーカーの名前も多くみられる。製造業においては偽装請負が常態化しているといっても過言ではないだろう。
大分労働局が実施した派遣・請負労働者を対象とした調査によると、約90%の請負労働者について偽装請負の可能性があるということだ(大分労働局2006)。また、定期健康診断を受けていない労働者が3割以上、年次有給休暇を取得できない労働者が約4分の1、時間外手当を適切に受けていない労働者が約35%もいることが同調査からわかっている。
請負労働者のなかには社会保険に加入していない人も多い。さらに、偽装請負の蔓延で労働災害も発生しやすくなっている。このような実態をうけて、社会保険庁が請負労働者を含む非正規雇用の社会保険加入実態調査に着手したほか(朝日新聞2006年8月10日)、厚生労働省労働基準局も発注元のメーカーが実施すべき安全管理について指針を通知した(朝日新聞2006年8月22日)。
さらに、厚生労働省は偽装請負の現状を洗い出すために有識者による研究会を発足し、2007年6月をめどに新たな指針を作成する方針を固めている(朝日新聞2006年8月26日)。
平成18年版労働経済の分析によると、就業者数、雇用者数は増加しているが、正社員数は減少傾向にあり、派遣労働者や請負労働者を含む非正規雇用者が増えているという(労働経済白書2006)。そして、非正規雇用割合の上昇により収入格差が拡大しているが、格差の固定化を招かないための取組みが重要であると指摘している。政府は偽装請負の撲滅を図るとともに、非正規雇用者が正社員に移行できる仕組みを積極的に広げていく必要がある。 |
| (2006年10月20日再掲載) |
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