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 Works University
―労働政策講義― Works Institute
リクルートワークス研究所
第2回講義
労働組合
1 イントロダクション
2 労働組合の歴史
3 労働組合の種類と日本の労働組合の特徴
4 労働組合の役割と変化
資料編
参考資料
3 労働組合の種類と日本の労働組合の特徴

(1) 労働組合の種類
労働組合の組織形態は、一般的に次のように大別される。

・職業別組合(クラフトユニオン)
 同一職種の労働者が自分たちの技能に関わる利益を擁護すべく広い地域で組織する労働組合で、労働組合の原初的形態である。典型的には、技能の修得過程や資格を統制し、技能に即した賃率を設定してそれ以下での労働を拒否し、共済活動を行う。職業別組合では、伝統的にクローズドショップ制を導入しているところが多い。

・産業別組合(インダストリアルユニオン)
 同一産業に従事する労働者が直接加入する大規模な横断的労働組合。産業革命による未熟練労働者の大量出現によって生成した。当該産業の使用者団体や主要大企業と団体交渉を行い、産業横断的な賃金・労働条件の基準を設定する。職場統制は、組合規約によって組合員を統制し、使用者に対して職場の全労働者を組合員とすることを承認させる(ユニオンショップ協定)。また、当該産業の労働者の利益を擁護するための政治活動を行う。欧米における労働組合の主要な組織形態であるが、日本でも全日本海員、全国港湾労働者組合、全建総連など産業別組合が古くから存在している。

・一般労組(ジェネラルユニオン)
 職種、産業を問わず、広い地域にわたって労働者を組織する労働組合である。欧米では、工場の未熟練労働者や工場外の流通関係の労働者を包括して組織化することで発達していった。産業別組合が他の産業に組織の手を伸ばしていき、巨大な一般労組になったものもある。日本では小規模な一般労組が存在するのみ。

・企業別組合(エンタープライズユニオン/カンパニーユニオン)
 特定の企業または事業所に働く労働者を職種の別なく組織した労働組合。日本の大企業や中堅企業において正規労働者が長期雇用システムのもとで利益共同体となることを基盤として成立している。日本の組織労働者の約9割がこの組織形態のもとにある。これら企業別組合の多くが上部団体として産業別の連合体(全国単産)を組織し、それら連合体を通じて連合などの全国的組織(ナショナルセンター)に加入している。
 企業別組合は、臨時工、社外工、パート労働者、派遣労働者などを除いた、正規労働者だけで組織されているため、企業意識にとらわれやすく、組合の活動は企業内に封じこめられ、その組織は企業と癒着しやすい。正規労働者の全員組織であるため、いったん組合ができてしまえば、そのあとは組合員獲得のための運動を特別に意識的に行わなくても、企業の従業員の数に応じて組合員が自動的に増えていくので、意識的な教宣・組織の活動が軽視され、その結果、組合員の団結の意識が薄くなるという欠点がある。

・地域一般労組(コミュニティユニオン)
 中小企業で働く労働者を一定地域において、企業、産業に関わりなく合同して組織化した労働組合で、合同労組と称される。また、最近は、管理職労働者やパートタイム労働者など、企業別組合のもとでは組織化されにくい労働者を組織する組合も存在している。これら地域労組は、組合員が所属する個々の企業との交渉によって当該組合員の問題を解決することを試み、いわば駆け込み寺的な機能を果たしているといえる。(以上、菅野労働法2001)

(2)日本の労働組合の特徴
 先に述べたように、日本の労働組合のほとんどは企業別に組織されており、これが最大の特徴となっている。組合員資格を当該の企業(事業所)に雇用されている労働者に限定し、ユニオンショップ制のもとで、原則として組合から除名または脱退した労働者を企業は解雇することになっている。また、全従業員一括加盟方式を採用し、ホワイトカラー・ブルーカラーの区別なく、同一の組織に混在している。
 次に、組合費を使用者が従業員の給与から天引きして集めるチェックオフ方式が一般化していることが特徴としてあげられる。
 第3には、組合業務に専念する組合役員のほとんどが企業に籍を置いた状態で、役員に選出された期間だけ従業員としての責務を離れる在籍専従であるのが特徴的である。
 また、日本の労使関係は協調的である。これは、もう1つの特徴、長期雇用制(終身雇用制)と関連している。長期雇用制のもと、組合員であった労働者は、出世して非組合員の管理職となる。使用者側として交渉を受ける立場にある者も、かつては組合員であったのだ。企業対労働者というよりも、先輩対後輩という関係であり、このような状況において、強い対立関係を築くのは難しい。さらに、労働者は長年その企業に勤めることになるため、短期的な労働条件の向上よりも、長期的に安定した労働条件を求める。そのためには、企業の繁栄が不可欠であり、労働組合が使用者と協力して、経営を支えていかなければならない。
 しかし、企業と労働組合の関係が強くなる一方、企業別組合の影響力は、どうしても企業内にとどまりやすく、企業を超えたレベルに波及しにくい。日本の労働組合は良くも悪くもこぢんまりとまとまっているといえる。
 ヨーロッパの場合、職業別組合、産業別組合が中心であり、各企業には支部が置かれているだけである。通常、1つの企業に職業別に組織された複数の労働組合の支部があり、企業との交渉においては、企業内の全従業員による選挙で交渉代表を決定する。多数決を得るために全従業員の利益を政策として掲げなければならない。
 他方、職業別組合であるため、所属する会社が違っても職種が同じであれば、労働者は同じ組合に所属することになる。そのため、企業を超えた横のつながりが強く、組合の影響力は企業を超えて波及し、産業全体に広がる。ヨーロッパにおける労働組合が強い発言権をもっているのは、このような背景があるからである。
(2006年10月20日再掲載)
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