Column

働き方改革は「休み方改革」~長期有給休暇の活用~
村田弘美

人気グループ「嵐」が2020年末に活動を停止する。理由はメンバーの「自由な生活がしてみたい」という理由で、芸能活動を休止するという。先日も歌手の西野カナさんが、活動を休止して「いろいろと挑戦したい」など、ずっと休むなく走り続け(働き続け)てきたからこそ、一旦休んで心身ともに充電することで、次のキャリアステップがより充実したものになるという考えである。休暇をどう活かすのかは自分次第でもある。

2019年4月に施行される働き方改革関連法では、企業は、労働時間や休暇制度の改革などに取り組まなくてはならなくなった。中でも10日以上の年次有給休暇が付与される全ての労働者に対し、毎年5日間の年次有給休暇を取得させることが義務付けられたため、喫緊の人事課題は、「休まない従業員に対して、いかにして休んでもらうか」ということになる。

「有給休暇を取得する」ということは、一見簡単なように思えるが実際はそうではない。いままで、有給休暇の取得はあくまでも労働者の権利であるため、企業側は有給休暇の取得を強制することはしてこなかった。実際には、有給休暇はどの程度取得されているのだろうか。厚生労働省の就労条件状況調査(2018年)によると、2017年の1年間の年次有給休暇の付与日数は18.2 日、そのうち労働者が取得した日数は9.3 日と、取得率は51.1%(同49.4%)であった。

諸外国と比べるとどうだろうか。エクスペディア・ジャパンが、世界19カ国18歳以上の有職者男女計1万1,144名を対象とした「有給休暇の国際比較調査」によると、日本人の有給休暇の取得率は50%と、世界19カ国の中で3年連続最下位であった。さらに、有給休暇の取得日数においても10日と、アメリカとタイと並んで世界最下位という結果で、日本人が最も有給休暇を取得していないことが明らかとなった(図)。
日本の年間休日は、週休日、週休日以外の休日、年次有給休暇は計138日(2016年)、法定以外にも夏期休暇や年末年始休暇があり、他国と比較して休日が少なくはない。

 

出所:「有給休暇の国際比較調査」エクスペディア・ジャパン

 

休日・休暇はあるが休めないという理由は、個人では、「休み不足と感じていない」ことや、「職場の同僚が休まないから」など職場環境の影響もある。他には、「休んでいても気になって仕事のメールを見てしまう」など、休暇を取得していても十分に休めていないこともある。
現在は、多くの企業で人手不足という状況もあり、有給休暇を取得すると、同僚にそのしわ寄せがあることから、チームで働く職場では、特に休暇の申請はしにくいという。こうした状況に対応して、企業は計画的付与制度や、従業員が有給休暇を取得できる環境を早急に整えなくてならない。

 

「サバティカル」「キャリア・ブレイク」を活かす企業
「サバティカル」や「キャリア・ブレイク」は、所定の在職期間に達した従業員に対して、通常の有給休暇とは別に、数週間から1年間程度の長期の有給休暇を付与する制度である。ヘブライ語の「shabath(休息する)」に由来し、1880年に米国のハーバード大学で導入された有給の研究休暇がその起源とされている。サバティカルは、日本でも多くの大学で導入しているが、企業でも、例えばデロイト、PWCといったコンサルティング会社や、インテル、グーグル、ヤフー、アドビシステムズ、などのIT関連企業や先進企業が、長期有給休暇を導入している。
リクルートでも51年前の1968年9月に長期有給休暇制度として『STEP休暇』を導入し、3年勤務する毎に、上限28日間の連続有給休暇を付与する制度を設けている。

サバティカルは、無給か有給か、使途の制約の有無、制度の名称等は、企業により異なるが、やはり多いのは、長期の海外旅行であるが、例えば、普段は着手できない領域の調査や研究、免許や資格の取得、語学留学などの学びの時間に充てることもある。他にも、趣味、家事、育児、介護、ボランティア、休養など、普段時間をかけて取り組むことができないことや、自分時間にも活用されている。休暇をどのようにして有益なものにするかは、知恵の出しどころでもある。

企業側は、従業員が有給休暇を取得したくなる人事施策、従業員側は、長期休暇の目的や有益なものにする計画をたてるのは勿論のこと、仕事の調整や不在時のシミュレーションなど、長期休暇を取得するためのスキルも向上させることが必要となるなど、互いに知恵を出し合うことが大切である。
2019年は、日本の休み方改革をスタートさせる1年になるだろう。

 

村田弘美


[関連コンテンツ]
サバティカル休暇
フレキシブル・ワーク 欧米の「新しい働き方」を支える政策・制度
フレキシブル・ワーク 欧米8カ国の働き方改革(政策・事例)

 

2019年02月01日