Column

日本の「当り前」は、他国の非常識?
中尾隆一郎

コンセンサスの取り方の違い
先日、イタリアでの国際会議に参加し、感覚の違いに驚いたことがあった。会議の冒頭、私が同行した部外者を会議に参加させて良いかどうかが議論になってしまったのだ。事前に事務局のOKを取っていたが、議長に話をしていなかったので、話がややこしくなった。フランス人議長は、会の規約に立ち戻り、原則論を話し出した。オランダ人の委員は、今回の議題であれば問題ないと援護射撃してくれた。様々な国の人たちが意見を交換することになった。私は正直面倒くさいなと感じながら、収束しなかったら、事前に了承を取っていたことを伝え、参加の正当性を説明しようと考えていた。しかし、そうすると事務局の段取りの悪さが露呈し、顔をつぶすことになるので、どうしたものかと感じていた。するとベルギー人の役員が「隆一郎が連れてきた人なのだから問題ないだろう」と、従来の議論とは関係ない話を突っ込んできた。ところが、皆、そうだと言う雰囲気になり。会議参加のコンセンサスが得られた。

後で聞くと、彼らのコンセンサスは、何か1点でも手を握れるところを探すことだという。長らくヨーロッパで戦争をしていた彼らの知恵だそうだ。一方、日本は、大半を合意しないとコンサンサスを得たとは言わない。この違いに興味を持ち、スマホアプリ「Culture Compass」を使い日本の特徴を改めて調べてみた。「Culture Compass」は、Gホフステードの多文化比較研究をもとに開発されたものだ。再確認できたのは、どうやら日本の「当り前」は、他国の「当り前」ではないということ。

日本の当り前と世界の当り前の違い
日本の特徴を以下に記す。
「権力格差:上位者との関係性」は世界49位。但し、アジアでは最小(関係性がフラット)、しかし西欧諸国と比較すると大きい。(彼らは更にフラット、だから議論が白熱する)
「個人主義」は35位。アジアではインドに次いで2位、但し、西欧諸国は更に個人主義。
「男性らしさ」は、なんと世界2位。圧倒的に男性らしい国!
「不確実性の回避」は、11位。アジアでは圧倒的1位!
「長期志向」は3位。但し、1位が韓国、2位が台湾、4位が中国とアジア諸国が上位を独占。
つまり、日本は、「男性らしさ」「長期志向」「不確実性の回避」が強い国。アジア諸国と比較すると「権力格差」が小さく、「個人主義」が強い国だが、西欧諸国は更に関係性がフラットで個人主義ということだ。我々は、これら日本人の特徴を当り前だとして、他国の方々と接しているということに気づいたほうがよいようだ。

ちなみに、男性らしい国の特徴の例をいくつか挙げると、
・父親が働き、母親が世話をする
・女の子は泣いても良いが、男の子は泣いてはいけない
・効率性、高品質、迅速性が必要な製造業、特に大量生産が得意
・報酬は公平性に基づく
同じく、不確実性の回避が高い国の特徴例は
・何が起こるかわからないと心配で落ち着かない
→明確に予測でき解釈できる構造が組織や制度や人間関係に求められる
→のんびりと座って静観するよりも潜在的な敵と戦い始める
→(裕福な国では)子育ての費用に不安を感じている
→医者は何種類も薬を処方し、患者もそれを求める
→規則を作ることが好まれる
さらに、長期志向の強い国の特徴は、
・将来の報酬を志向する特性、なかでも忍耐と倹約を促す
・仕事の価値観:学習、誠実、順応性、説明責任、自律
・市場での地位が重要
・所有者、管理職と従業員が同じ志を共有
・社会的、経済的格差が大きいことは望ましくない
あてはまることが多い気がする。

日本企業は、外国人留学生を日本人化させようとする傾向が強い。かつては女性を男性化してきた。知らず知らずのうちに同質化を求めてきた。今後は、その人がその人らしく活躍できるインクルージョンが求められてくる。上述の「Culture Compass」では、2国の比較ができる。あなたのまわりの外国の方々と日本の違いを理解するのに役立つのではないだろうか。

中尾 隆一郎


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2017年02月22日