Column

IT業界における女性活躍とVRの可能性
中尾隆一郎

「IT人材白書 2015」(IPA 独立行政法人 情報処理推進機構)の調査結果によると、
・女性比率が20%未満の IT 企業は 69.3%。
・女性管理職が 0人のIT企業は48.3%。管理職比率が5%以上のIT企業の割合は36.0%。
1年前の調査「IT人材白書2014」と比較すると数値は改善傾向にあるが、絶対値は決してよくない。私が3月まで代表取締役社長をしていたリクルートテクノロジーズ(以下RTC)の管理職比率は7.8%。この比率は上位3分の1程度にランキングされることになる。

「おかえり制度」の新設は経営のメッセージ
2014年上期にRTCで女性2名の退職の話が持ち上がった。2人とも家庭の事情が理由だが、仕事、職場への満足度も高く、会社への貢献も高い。しかし、各人の事情も考慮すると、無下に慰留もできない。
そこで、発想を変え、将来家庭の事情が再度変更した際に、RTCに戻ってきてもらうための「おかえり制度」を短時間で新設した。この制度は家庭の事情により離職した従業員の再雇用を促進する制度。勤続1年以上の正社員のうち、家庭のやむを得ない事情(配偶者の転勤、出産、育児、介護)を理由に退職した従業員が対象。14年10月以降の退職者からの適用を決めた。復職希望時には、人事部の面談のみを行い、通常の採用よりもシンプルなフローで再就職ができるようにした。

また、離職時も会社とのつながりを保つために、将来この制度の利用を希望する者には、定期的に会社情報の提供を続けていくことも決めた。いわばこの2名のために作った制度であった。結果、1名は緊急家族会議を開き、自分のキャリア、家族の未来などを総合的に検討し、1年弱の間は遠距離生活を選択し、退職を取りやめた。もう1名は一度退職したものの翌年に復職をし、新制度利用第1号になってくれた。2人とも現在マネジャー、リーダとして活躍してくれている。
2人とも異口同音に「この制度は、私たちにRTCにいてほしい、帰ってきてほしいという経営のメッセージだと感じた」と言ってくれた。

VRが「おかえり制度」を不要にする可能性
nakao_0115年3月17-18日。RTCはVR体験イベント「未来アミューズメントパーク」を開催した。このイベントは次世代のメディア(コンテンツ)として、視覚・聴覚・触覚を刺激するVRの可能性を探ることが目的。ヘッドマウントディスプレイを装着し、ジェットコースターのような体感を得られる「TOKYOスカイラン」、ドローンで360度の空撮をしてきた映像と自身の“ジャンプ”がシンクロする「座間味 ロケットジャンプ」など全部で6種類を体験できた。映像という視覚情報だけでなく、「浮く、落ちる」といった体感、風や霧を浴びるといった触感、そんな感覚も刺激する仕掛けを経験できた。私自身も実体験し、大きな可能性を感じた。一つはリクルートグループの各種サービスに装着すること。

もう一つがミーティングや会議などへの活用の可能性。テレビ会議に加えてVR技術を活用することで、場所を超えて体験・経験を共有できる。そうすると、パートナーの海外赴任などがあっても海外から就業継続ができるかもしれない。そもそも海外赴任や地域間異動もなくなる可能性もある。そうなると「おかえり制度」自体が不要になる。テクノロジーの進化でリモートワークがさらに進化し、日本特有の地域間異動がなくなる世の中になる。そのような日も近いかもしれない。

中尾 隆一郎


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