Column

2025年の「働く」と少子高齢化
中村天江

高齢化は未来永劫に続く問題ではないnakamura_03
わが国では、高齢化にともない医療や福祉など、社会のさまざまな仕組みの再構築が急務となっている。これは働き方においても同様だ。
ともすれば、私たちは高齢化への対応を未来永劫に続く問題だととらえがちだ。しかし、実際は、違う。人口の二大ボリュームゾーンである団塊世代と団塊ジュニア世代のあとは、ひたすらに少子化が進展していく。社会のサステナビリティ(持続可能性)を維持するためには、この2つのボリュームゾーンの加齢に合わせた、社会システムを再構築が必至となっている。
本コラムでは、私たちが先ごろ発表した「2025年 働くを再発明する時代がやってくる」のデータを用い、少子高齢化と働き方の今後について考えてみたい。

過去の延長で訪れる2025年
「2025年 働くを再発明する時代がやってくる」のベースシナリオでは、離職率や労働市場への参入率がこれまでのトレンドを維持するとして、10年後の労働市場をシミュレーションした。そのような前提にたつと、2025年には、2015年から就業者は183万人減少し6091万人に、平均所得は13万円減少し342万円になり、社会の活力は失われていく。2015年と同水準の活力を維持するには、多様な人材の就労が必要となる。
ベースシナリオでは、就業者の年齢構成は以下のようになる。高齢化が進展するにもかかわらず、65歳以上や55~64歳の構成比はほとんど増加せず、45~54歳が最多ボリュームである一方、少子化を受けて15~24歳は減少する。
このシミュレーション結果から、2025年に向けて「働く」をめぐる3つの懸念が浮かび上がる。

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高齢者の就労と、介護と「働く」の両立
2025年にかけて「働く」をめぐる第一の懸念は、高齢者が働けるかどうかだ。厳しい財政状況を受け、年金の切り下げなど、福祉の抑制が見込まれる今後、年齢を重ねても自立して生活していくことが望まれる。既に2013年に、希望者の65歳までの雇用確保を企業に義務付ける法改正が行われているが、過去のトレンドを延長したシミュレーションデータでは、高齢者の就業比率は増えていかない。65歳までの就労機会を創るためにも、さらに上の年代の就労機会を生み出すためにも、企業の人材マネジメントの見直しを含めて、高齢者が働けるような環境の整備が必要となる。
第二の懸念は、団塊世代が75歳以上の後期高齢者になる2025年、介護と「働く」の両立ができるようになっているかということだ。2015年現在、介護による離職や、介護をかかえて再就職に障害が発生している。介護は、労働時間や勤務地に制約をもたらすだけでなく、共働き世帯や単身者の増加から、基幹業務を担ってきた社員であっても、「働く」と両立しなければならなくなる。このような、場所や時間の「制約」と両立する働き方創りが、今後、強く期待される。

盲点となっている若年のキャリア形成
人口動態の変化は若年世代にもふりかかる。「働く」をめぐる第三の懸念は、マイノリティサイドになる若年のキャリア形成だ。
私たちが行ったヒアリング調査では、少子化が進んでも、企業の若年に対する採用意欲は衰える気配がなかった。日本企業にとって、若年の確保は、賃金制度や人材育成、人材マネジメント等、さまざまな点で強い合理性をもっていることがその背景にある。そのため、2025年にかけて、若年は就職段階では有利な立場になるだろう。
ところが、就職後、その状況が続くとは限らない。いや、むしろ、不遇にさらされる可能性さえある。仔細はレポートを読んでいただきたいが、2025年にかけて、多様な人材の活用を実現する鍵は、ひとりひとりの持ち味をいかした“モザイク型”のマネジメントだ。逆に、従来ままの人材の「マス管理」を続けるような職場では、マネジメントの機能不全が起こりうる。少子化により、若年を一人前に育てた経験のない職場も増加している。そのような職場では、若年が十分に目をかけて教育してもらえるとは限らず、本人が受け身ではますます心もとない状況となる。今後は、若い内からキャリア自律が求められるようになっていくだろう。

このように、2025年にかけては、年代ごとに異なる課題に直面するようになる。世界の先頭を走り少子高齢化が進む日本で、年代に応じた働き方の発明が期待される。そんな2025年がやってくる。

中村天江

 


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