Column

世界の人事が注目する
「HRテクノロジー」とは?(REVIEW)

10分でわかる「HRテクノロジー」
本コラムでは、これまで計34回の連載を通じて、調査やインタビューを基に労働市場のバリューチェーンごとに「HRテクノロジー」の代表的なサービス分野を28種類に大別し、注目されるサービスとそのビジネスモデル、さらにプロフェッショナルから見たテクノロジーの展望について紹介した。エコシステムという名のとおり、日々新しいテクノロジーが生まれ、また消えていくため完成形ではない。

近年の傾向では、SNSとの連動や、HRISといった人事システムとの接続を重視した商品サービスが増えているものの、数年先には、どの分野がどのように変化しているのかを想定することさえ難しい現状にある。本コラムは、変化し続けるテクノロジーの世界を現時点で理解するためのツールとして、活用していただきたい。

既に「HRテクノロジー」を導入、活用している人事も多いが、どのプロセスにおいて何を活用するとより自社のパフォーマンスが高まるのか、人事はどうテクノロジーと共存すべきかを考える機会にもなるだろう。

最終回では、28のテクノロジー分野のレビュー。10分でわかる「HRテクノロジー」として概説する。

※詳細については、各コラム、または Works Report 2017 HR Technology 世界の人事が注目する「HRテクノロジー」をご覧ください。

28の「HRテクノロジー」
01. Career Advice and Coaching キャリアのアドバイスやコーチング

学生、社会人向けの就職相談や、キャリア構築のためのリアルな情報、アドバイスを提供するサービス。従業員を対象にした研修サービスや給与情報開示サービスも含む。

02. Social CV and Resume Builder 効果的なレジュメ作りをサポート

履歴書作成サービスで、効果的な履歴書作成のためのアドバイスや履歴書のテンプレートを提供する。SNSに掲載している個人の情報を基に簡単に履歴書を作成できるサービスもある。

03. Job Search Organizer 求人情報や応募手続きを一括管理

求職者のための求職活動における情報収集や求人応募状況を管理できるツール。求職者が興味を持つ企業の求人情報を分かりやすく整理し、求職者がどの求人案件に応募すべきか判断できる。求職者に求職活動の行動計画を提案し、自分の求職活動状況を把握できる仕組みになっている。

04. Social Networks SNSを利用した求人・求職活動をサポート

SNSが提供する求人・求職情報サービス。求職者はSNSを通じて求人への応募が可能。さらに企業はSNSサイトに掲載されている個人の情報を基に採用候補者を探し出し、コンタクトすることで人材獲得につなげている。

05. Employer Reviews 企業に関する口コミ情報や評価

企業の評判、給与、福利厚生、企業文化、採用面接の内容など企業の従業員からの口コミ情報を基に企業評価を公開しているサービス。情報はサービス業者のウェブサイトにて公開。その評価は求職者が企業を選ぶ上で1つの判断材料として使われている。

06. Referral Tools リファラルプロセスを自動化

企業と関係のある個人(従業員など)が知人を採用候補者として企業に紹介する仕組み。企業にとって信頼できる人物や会社からの紹介のため、公募や他の企業と関係を持たない人材紹介会社からの紹介と比べ、優秀な人材を獲得できる可能性が高い。

07. Video Interviewing 録画やライブで面接を効率化

企業の面接担当者と求職者が動画を使って面接を行う仕組み。録画とライブの2種類がある。遠隔地からの面接が可能なため、企業はさまざまな地域から採用候補者を集めることができる。

08. Interview Management Tools 面接日時・工程を管理する面接管理ツール

企業が求職者との面接予定や面接内容を管理できるシステム。複数の面接者が質問項目や評価情報を共有できる。企業の応募者追跡システム(ATS)と連動して採用活動の進捗を確認できるものもある。

09. Crowd Sourced Recruitment 多数のフリーランサーに業務を分割して委託

フリーランサーなど社外の労働者を企業に紹介する外部人材調達システム。複数の労働者が仕事を分担して行う。大量のデータ入力などを扱うマイクロタスク型と、プロジェクトごとに募集するコンペ型がある。

10. Matching Systems 募集要件と求職者をマッチング

企業の募集案件と求職者のプロフィールをマッチングし、最適な候補者のショートリストを自動作成し、企業に提供するサービス。企業は大量にある履歴書を1つずつチェックする必要がなくなり、採用にかかる時間の短縮につながる。

11. Vendor Management Systems 非正規労働力を管理

企業がフリーランサーなど外部委託の人材および人材派遣会社、OB・OGなどを一元管理するシステム。業務の発注、時間管理、ベンダーからの請求書の処理、費用の分析などをシステム化することにより、社外労働力の管理を効率的にする。

12. Freelance Management Systems フリーランサーを管理

企業が外部委託のフリーランサーを直接管理するシステム。採用、時間管理、報酬の支払い、採用したフリーランサーに対する評価ができる仕組みになっている。

13. Recommendation and Reference 候補者の身元照会や信用調査を代行

採用企業に代わって採用候補者の身元照会を行うサービス。学歴や職歴、犯罪歴などを調査するだけでなく、薬物検査を代行するサービスもある。

14. ATS-Staffing Companies スタッフィング会社用の応募者追跡システム

スタッフィング会社の業務プロセスを一元管理するシステム。人材の紹介状況や派遣社員の労働時間、給与、営業・顧客状況、バックオフィス業務、採用候補者のトラッキングなどを管理する。VMSなど他のシステムと統合できるものもある。

15. Job Boards 求人・求職サイト

求人・求職サイト。求人広告の掲載と登録者のレジュメデータベースが検索できるサービスを企業に提供する。大手の総合型と、業種・職種・地域を特化したニッチ型がある。

16. College Recruiting 新卒採用に特化したサービス

大学生や新卒に特化したサービスを提供する。新卒向けのジョブボードおよびインターンシップ検索サイト、新卒採用のプロセス管理や、学生の就職活動をサポートするものがある。

17. Job Marketing and Distribution 複数のジョブボードに求人情報を一括掲載

複数のジョブボードやSNSに求人情報を一括して掲載するシステム。リクルーターの代わりに、多くの選択肢の中からその求人内容に最もふさわしく、効果の高いサイトを特定する。中には、オファーレターの作成から事務手続き、アセスメント、身元照会、採用プロセスの管理などと接続するサービスを提供する事業者もある。

18. Job Board Aggregators オンライン上の求人情報を集約する検索エンジン

インターネットに掲載されている求人・求職サイト、企業サイトの求人募集ページ、新聞社や協会のサイト、SNS、コンテンツサイト、公共職業安定所など、インターネット上に掲載されている何千ものサイトから求人情報を自動収集して1つのサイトに集約する。

19. Social Search オンライン上の情報から人材を評価して候補者を発掘

ブログの投稿内容、LinkedInなどSNSのプロフィールおよび投稿内容といった、インターネット上にある人材の情報を収集して評価するサービス。求人内容にマッチする採用候補者をアルゴリズムで特定し、企業に提供するなど人材発掘をサポートする。たとえば、エンジニアの採用では、“候補者はどのような優れたコードを書いているのか”といったスキルレベルを事前に知ることもできる。

20. Candidate Relationship Management(CRM) 採用候補者を管理

企業への応募者や潜在的求職者(元従業員、競合会社に在籍する優秀な人材などを含む)を企業が採用候補者の母集団としてデータベースで管理し、求人条件に応じて経験、スキルを基にその中から人材を探し出すことができる仕組み。母集団を常に管理し関係を構築しておくことで、迅速かつ効果的な採用が可能になる。求人内容に応じて、データベースからターゲットを絞ってSNSやメールで発信する機能を備えたものもある。

21. Temporary Labor Marketplace 高度専門職、フリーランサーへの業務委託

インターネット上で企業や個人に臨時労働者を紹介するサービス。労働時間の管理や報酬の支払代行サービスなども含まれる。人材はフリーランサーが多い。紹介する職種、サービスは多岐にわたり、法律や経営相談など高度の知識を必要とするものから、犬の世話や引越作業といった肉体労働まである。クラウドソーシングと似ているが、プロジェクトの中で業務を分け、複数の人材を採用するクラウドソーシングとは異なり、むしろインターネット上の人材派遣サービスに近い。

22. Brand Creation and Management 企業の採用ブランド構築および運用サービス

企業の採用ブランドを構築および管理するサポートを提供するサービス。優秀な人材を獲得するためには、企業の採用ブランド(「採用の問い合わせに対する素早い回答」や「面接者による分かりやすい説明」といった良い印象)を確立し、評判を高めておかなければならない。サービスには、企業のPR動画・求人広告・採用ページの作成、求職者のデータ収集および分析、ウェブ上で企業と求職者をつなぐチャットツールの提供、などがある。

23. e-Staffing 専門職などの採用候補者を厳選してショートリストを作成

e-スタッフィングの登録審査を通過し、かつ求人とのマッチング度の高い候補者のみを厳選して企業に候補者のショートリストを提示するサービス。求職者には、関連性の高い仕事のショートリストを提案する。多くは、ITやスタートアップなど、特定の分野に特化している。オンライン上の人材紹介会社のようなもので、採用後に一定の保証期間を設けていることが多い。

24. Recruitment Marketplace 企業とリクルーターや人材紹介会社の関係をサポート

企業と多くの人材紹介会社やリクルーターをつなげるサービスを提供する。企業は多数のリクルーターに求人情報を簡単に送信することができる。また、リクルーターが候補者の情報を集約し、適性の高い人材を絞り込んだショートリストを人事に送ってくれる。

25. Psychometric Assessment 採用候補者の心理や性格特性を測定

統計学的な解析法を用いて、求職者や従業員の仕事上のパフォーマンスに関わる性格特性を明らかにするサービス。

26. Skill Assessment プログラミングなど職種特定のスキルを測定

特定のスキルに重点を置いて測定するサービス。求職者の技能査定の他、従業員のスキル育成にも活用できる。

27. Resume Parsing Software 求職者のレジュメを解析

レジュメやSNSのプロフィールに記載されたテキストを解析し、職歴に関する情報を抽出、整理するサービス。大量のレジュメから求人にマッチする候補者を探し出すという煩雑な作業を軽減する。

28. ATS-Corporations 企業人事向けの応募者追跡システム

企業人事向けの応募者追跡システムで、大量採用を実施する企業の人事に必要不可欠なサービス。アルゴリズムを使ったレジュメの自動スクリーニング、有力候補者との面接設定の自動配信メール、採用の進捗状況の社内共有と一括管理、自社採用サイトの閲覧者の追跡や、SNSで特定した個人情報取得および追跡などさまざまなプロセスに対応している。

グローバルセンター
村田弘美(センター長)

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2017年08月14日