Column

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新卒に特化した採用プロセスと就職活動を管理する
カレッジリクルーティング

ttl17_gear16College Recruiting
代表的なサービス

カレッジリクルーティングのサービスは多種多様なものがあるが、基本は企業の新卒採用や、学生の就職活動をサポートするものである。

新卒採用は日本特有のものではなく、長期のインターンシップを活用した有望な人材の早期選抜など、国によって違いはあるものの欧米を中心として世界各国に同じような仕組みがある。

人材獲得に関する最新テクノロジーの多くが新卒採用に転用されている。例えば、CollegeReruiter.com、Experience、Monster Collegeなど、インターンシップや新卒に特化したジョブボードがあるが、採用候補者管理ツール(CRM)は卒業前から優秀な学生と関係を築くのに役立っている。

このほか、新卒採用プロセスをサポートするビデオ面接ソーシャル・サーチなども利用されており、カレッジリクルーティングは一大市場となっている。

最近では、臨時労働者紹介にも新卒採用を対象としたサービスがある。大学生を対象とした短期プロジェクトが専門のサイトの例としてTest TracksやRiipenが挙げられる。企業は、臨時的に短期のプロジェクトを任せることで学生と関係を築き、職場での適性を見極められる。短期のインターンシップをうまく利用すれば、採用決定の前に学生の実力を精査でき、従来の面接より優れた採用プロセスとしても活用できる。

人事との関連性
日本における新卒採用は既に確立されているように見えるが、採用プロセスやテクノロジーの活用方法は各国で異なる。

新卒採用を重視する企業は欧米にも多く、インターンシップを経由したものや、探し出した適材に直接アプローチするダイレクトリクルーティングなど日本にあまりない手法やテクノロジーを利用する企業も増えている。

今後は、採用テクノロジーの各サービス機能を知り、自社の新卒採用に何が活用できるかを検証することが重要である。ほとんどは転職サービスであるが新卒採用にも活用できるものが多い。ただし、欧米の新卒者は長期のインターンシップなどで既に職歴があり、専門教育を受けている者も多いため、日本の新卒者向けに導入する際には注意が必要である。

サービス例

  1. Jozii:学生アルバイト、インターンシップ専門のジョブボード
    現役の大学生専用の求人・求職サイトで、学生は無料で求人情報を閲覧できる。応募後はATSで応募プロセスを追跡できる。企業は求人広告の掲載料が30日間のみ無料だが、自動スクリーニングや面接日の管理などのサービスは有料(広告1件につき399ドル)。料金は広告件数による。
  2. AfterCollege:特定の学部や学生団体に向けた採用情報を提供
    新卒採用とインターンシップ求人を掲載するサイト。一流大学2,500校以上の学部や教職員と提携し、特定学部にターゲットを絞った採用活動を支援する。企業にも採用キャンペーンやプロモーションを支援する。居住地域、学校名、専攻分野、卒業年度、所属学生グループ、語学力、成績、就労許可の有無といった募集条件を設定すると、条件にあった学生のプロフィルが毎月20人分まで送られてくる。プロフィルの確認後は、採用部署のマネジャーに転送、レジュメのダウンロード、求職者に直接メッセージを送信できる。
  3. HireCanvas:有名大学の学生獲得を目的とした新卒採用サービス
    新卒採用に関する作業を簡素化し、企業と大学のネットワークを増強するためのサービスを提供する。キャリアフェアなどに集まる学生の申込書の情報を素早くデジタル化して取り込むiPadアプリサービス、採用担当者同士でイベントに参加した学生の情報や印象、査定結果を共有するサービス、イベントのスケジュール管理を共有するサービスなどがある。
  4. Riipen:単位が取得できる短期プロジェクトを提供
    企業との関係を強化し、実用スキルを身に付けるための短期プロジェクトを通して、大学卒業と同時に就職できるよう促す。学生は、企業の提供したプロジェクトに授業の一環として参加する。当初プロジェクトは単位取得の対象だったが、現在は対象外のものもある。パフォーマンス次第で報酬が支払われ、インターンシップや就職につながる場合もある。本拠地はカナダ。

ビジネスモデル(課金形態)
いずれのサービスも学生の利用は無料だが、企業の利用は条件により有料である場合が多い。

  1. 求人・求職サイト 企業が求人広告の掲載料をサービス事業者に支払う
    一般的なジョブボードと同様のビジネスモデルで、企業はインターンシップや学生アルバイトを含む求人広告の掲載料や登録者のレジュメデータベースへのアクセス料を支払う。企業が一流大学の特定学部と提携し、その学部に特化した求人広告を掲載するサービス(AfterCollege)や、企業は30日間のみ無料で広告を掲載できるが、レジュメデータベースを閲覧・検索するためのアクセスは有料になるサービス(Jozii)がある。

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  2. 企業がイベント関連サービスの利用料をサービス事業者に支払う
    企業はキャリアフェアなどのイベントに集まる学生の情報を管理するサービスに利用料を支払う。イベントに参加した学生の情報を取り込むiPadアプリのサービスや、採用担当者同士がイベントのスケジュール管理、参加した学生の印象と査定結果、イベント後の学生へのフォロー状況などの情報を共有するサービスがある(HireCanvas)。
  3. 企業が学生のデータベースを閲覧、アクセスする料金をサービス事業者に支払う
    会員制のレジュメ閲覧サービス。登録している学生のプロフィルの閲覧のみできるスタンダード会員と、学生に直接コンタクトすることができるプレミアム会員向けの2種類のサービスがある(10 Minutes With)。
  4. インターンシップ情報 大学が会費をサービス事業者に支払い、自校の学生に限定した情報を無料で提供する
    ハーバード、イエール、ペンシルバニアなど特定の大学向けにサービスを提供する。企業は無料でインターンシップの求人情報の掲載とレジュメデータベースが検索できる。大学は会員制で、有料と無料の会員種別があるが、有料会員には、カスタマイズサービスを提供する。有料会員(大学)向けのインターンシップ情報を提供する。さらに、学生の登録者数や応募件数、トップ検索キーワードといった統計データを提供する。有料会員(大学)は、他の大学と比較分析して戦略が立てることができる(Internships.com)。
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今後の展望
米国では2~3年の経験を積んだ社会人のほうが新卒より募集数は多いが、新卒採用も重視されている。市場が大幅に発展する可能性は低いものの、引き続き安定的に持続するだろう。

グローバルセンター
村田弘美(センター長)
鴨志田ひかり(客員研究員)

HRテクノロジーマップ
※クリックすると拡大

00_ttl_esmjpcircle1200出所:TTL “Talent Acquisition Technology Ecosystem”を基に再分類し筆者作成(2016.10)

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2017年04月07日