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SHRMアニュアルコンファレンス

米国の人事関連の記事や調査でよく目にする言葉は「ミレニアル」だろう。ミレニアルは西暦2000年以降に社会人になった世代で、1980年から2000年生まれの人たちである。それまでの世代とは仕事への向き合い方や価値観が異なると言われ、今や労働力人口の過半数を占めるミレニアルをどのように管理・育成していくかが盛んに議論されている。SHRMコンファレンスでもミレニアルをテーマとしたセッションが複数あった。その中の1つを紹介する。

ダン・ショーベル氏ダン・ショーベル氏

次世代リーダーをエンゲージして育成する方法
スピーカーのダン・ショーベル氏は自身も30代のミレニアル。同氏によると、現在1万人のベビーブーマーが日々引退しており、準備不足のミレニアルが管理職に就かされている。マネジャー以上の役職に就いているミレニアルは35%、そのうち、「指揮を執る準備ができてから昇進した」と感じていたのはわずか36%だった。管理職になるにあたり彼らが特に懸念する事項は、扱いにくい人間の管理、経験不足、いざこざの対処といった職場での人間関係にまつわる経験不足が目立った。

ミレニアルの93%はいずれリーダーになることを希望しているが、現在の職場でそれを希望するのはわずか16%である。世代別にみると、ミレニアルの勤続年数は2年と非常に短く、X世代は5年、ベビーブーマー世代(以下ブーマー世代)は7年である。ミレニアルの特徴とエンゲージメントを高める方法を理解しなければ、彼らはフリーランスや起業の道へと進むだろうとショーベル氏は警告する。

交流を重んじるミレニアルの学習法とリーダーシップスタイル
他の世代はマニュアルや教科書を使用する教室での研修を行うが、ミレニアルはインタラクティブな方法、例えば継続的なフィードバックやソーシャルラーニング(SNS、ウィキペディア、ブログ)を好む。

ブーマー世代は命令、管理、方針や手順を重んじる専制的なリーダーシップスタイルだが、ミレニアルはチームを重んじ、変革的なリーダーシップスタイルで、各メンバーに権限を与えて成功に導く方法を好む。そのため、ミレニアルはブーマー世代のリーダーに反抗的になることがある。

部署内外での活躍を促すリーダーシップ開発事例
若い世代のエンゲージメント向上を意図したリーダー育成の取り組み例は下記のとおり。
リーダー育成の取り組み

 

ペダルを漕ぎながら仕事や休憩ができるテーブルのディスプレイペダルを漕ぎながら仕事や休憩ができるテーブルがディスプレイされていた

バーチャルチームを管理し統率する方法
ミレニアルと同じぐらい注目されているのが「フレキシブルワーク」。働く時間や場所にとらわれないため、通勤にかかる交通費やストレスが軽減されるほか、従来では連携しないような事業部門、他地域、他国の人々と連携できるなどの利点がある。一方で、業務の目的や指示が不明瞭になりがちであるとか、異なる勤務時間やタイムゾーンの把握・調整・管理が困難であるといった課題も多い。ブーマー世代、X世代、ミレニアルと従業員が多世代にわたるなかで、それぞれの文化的背景を考慮してバーチャルチームを統率する必要がある。

ジゼル・コバリー氏が紹介した各世代の特徴は次のとおり。
多世代にわたるバーチャルチームの統率法

より細かな気配りで団結力のあるバーチャルチーム作りを
コバリー氏は、各世代の特徴を理解したうえでリーダーが実行すべき重要事項を洗い出した。

  • より緩い構造ではなく、より強固な構造にする
    目的、責任の所在、業績指標、成果物などを細かく管理する。誰が何を担当するのかを全チームメンバーに明確にしておく
  • 傾聴スキルの重要性
    バーチャルチームでは話し手の表情や動作などが見えず、文字のみから情報を読み取らねばならないため、傾聴スキルがより必要になる。他のことをしながらバーチャルミーティングに参加する場合も多いが、打ち合わせに集中する
  • コミュニケーションを取り過ぎるほど取る
    会議前に雑談をするのは、実は非常に重要なチーム作りの機会になる。バーチャル会議では直ちに議題に入る傾向があるが、会議前の雑談を意識する
  • タスクを割り振る際にローカルのチームメンバーを優先しがちなので、それは避ける
    また、あとからリモートのメンバーを参加させる際、これまでの経緯が全く耳に入っていないと想定して情報共有を徹底する
  • チームメンバー全員の経験が一貫するようにする
    オフィス就業者とリモートワーカーで研修場所・方法が異なるということを避けることで、リモートワーカー自身もチームの一員だと認識が持てる

 


SHRMアプリのメニュー画面アプリのメニュー画面

SHRMコンファレンス参加のポイント
SHRMのセッションは非常に数が多く、内容もさまざまであるため、出席前の予習は必須である。スマホのアプリで事前にプレゼン資料を確認し、興味のあるセッションを登録して自分のスケジュールを作成できるようになっている。

また、今年のコンファレンスでは米国外からの参加者が目立った。タイトルに「グローバル」が付くセッションが多かったのは、SHRM側もそれを見込んでいたのだと思われる。

一部の参加者はセッションから情報や知識を吸収することだけでなく、展示会やネットワーキングを重要な目的としていた。会場には海外からの出席者向け休憩スペースや、ネットワーキングを目的とした会食をセッティングするブースが設けられており、SHRMもこのあたりのサポートに重点を置いているように思われた。

グローバルセンター
Keiko Kayla Oka(客員研究員)
石川ルチア

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2016年11月28日