Column

ソシエテ・ジェネラル

マリー・ラングラッド・ドモワイアン
職場におけるCSR推進部部長

ソシエテ・ジェネラルは1864年に設立され、世界76カ国に、従業員約15万人、3100万人の顧客を持つ欧州でも指折りのメガバンクである。近年ではデジタル時代のバンキングを目指し、最新テクノロジーを駆使してサービスの提供を行っている。

また、「Life at Work(職業生活の充実)」というスローガンを掲げ、職場におけるQWL(クオリティ・オブ・ワーキング・ライフ)の実現に注力している。

マリー・ラングラッド・ドモワイアン氏は、人事部に属し、職場におけるCSR推進部の部長として主に労務関連を統括しており、ソシエテ・ジェネラルグループ全体でも需要が一気に高まったテレワークも担当している。

金融機関でのテレワーク導入は難しいとされている中、ソシエテ・ジェネラルは大成功を収めている点で、導入を躊躇する企業への有益な事例となるだろう。また、テレワーク制度に先立って計画され、デジタル時代の新たなオフィスとして2017年にオープンしたばかりのレ・デューン(Les Dunes)・テクノロジーパーク(※1)についても同氏に説明していただいた。


新しい働き方の導入には大きなリーダーシップが必要

ソシエテ・ジェネラルがテレワークを導入したのは、ほかの大手企業と比べると比較的遅い2013〜2014年でした。「Life at Work(職業生活の充実)」を具体的に実現できる方法は何か、そのために会社ができることは何かを考えたとき、テレワークがその最初の候補に挙げられました。

パリ市内の顕著な地価上昇もあり、多くの社員がパリ近郊に居住しています。本社があるラ・デファンスは、欧州最大のビジネス地区としてトップクラスの企業が3600社集結し、約20万人が毎日出勤しています。ラ・デファンスへの通勤客の多くが利用するパリ郊外急行鉄道網(RER)は常に混雑し、遅れることも多いため、社員のストレスの原因になっていました。

社員のストレス軽減に直接的な効果が期待できるテレワークですが、導入にあたり、歴史ある大企業特有の不安や反発にも多く遭遇しました。これには自ら率先して上層部に直談判し、少しずつ解決していきました。新しい制度の導入は簡単なことではありませんが、テレワークは特にニーズが高く、社員にもたらされるメリットが大きいことも明らかでしたので、躊躇することはありませんでした。


スタートから3年で5000人と一気に増えたテレワーカー

ソシエテ・ジェネラルのテレワーク制度は3段階に分けて導入しました。

まず、2013年末に200人が参加する最初のトライアルが行われました。その後の第2フェーズでテレワーカーの数は2014年末の450人から2015年には2300人と大きく増えました。これを受けて、社内でも企業合意締結の必要性が叫ばれ、労働組合との交渉が開始されました。2016年10月19日に無期限の企業合意が締結されましたが、これを機に希望者が倍増し、2016年末には5000人を突破しました。現在は7000人弱と順調に増えています。テレワークが「Life at Work(職業生活の充実)」に貢献していることは明白であると言えます。

企業合意にはテレワークの基本原則として、以下の内容が盛り込まれました。

  • テレワークは週に2日まで
  • 身体的なプレゼンスが必要な部署や顧客データを主に扱う部署の社員にはテレワークは認められない
  • テレワークは当該社員と直属の上司の合意の下で導入される
  • 同僚とのコミュニケーションを重視
  • テレワーカーと非テレワーカーの待遇の平等
  • いつでもテレワークを中断できる権利

そして、オンとオフの切り替えを重視し、接続を切る権利の強化が明記されました。テレワークに必要なパソコンなどの物品は会社から支給されます。現時点では自宅でのテレワークが基本ですが、第2の場所(社員の帰省先や別荘など)を事前に登録することもできます。


成功のポイント① 多角的アプローチ

テレワークを成功させるため、ソシエテ・ジェネラルではテレワーク・プロジェクトチームを中心とする多角的アプローチを採用しています(図表1)。

図表1 テレワーク・プロジェクトチームの多角的アプローチ

出典:ソシエテ・ジェネラル社内資料


成功のポイント② セミナー、アトリエの開催

テレワークを円滑かつ効果的に行うために、様々なレベルで情報・意見交換の機会が設けられています(図表2)。

図表2 テレワーク・プロジェクトチームの情報・意見交換の機会

出典:ソシエテ・ジェネラル社内資料


未来の金融市場に向けて:レ・デューン・テクノロジーパーク

「Life at Work(職業生活の充実)」の考え方に基づき、パリ西部のラ・デファンスで主にIT関連業務に従事する社員をほかの施設へ移動させる計画が持ち上がったのは、テレワーク制度が導入される以前の2007年のことです。急速に勢いを増すデジタル化を背景に、フィンテック(ファイナンス・テクノロジー)のR&Dに特化した施設の整備が必要になったという事情もありました。

ソシエテ・ジェネラルは、欧州における「未来の金融市場」を率先して構築するための足場として、パリ東南部のヴァル・ド・フォントネーにレ・デューン・テクノロジーパークの建設を開始しました。金融危機を背景に一時的に計画は中断されましたが、2012年に工事が再開し2017年にオープンしました。

レ・デューンはラ・デファンスからRERの A線で15分ほどのところにあります。総面積12万6000平方メートルに及ぶ敷地には3つの主要建物が平行して建ち、5000のフレックスデスク、500の協業スペース、巨大なオープンスペースなどテーマ別に分かれた50種類のスペースが配されています。外部のスタートアップ企業にもスペースを提供していて、日常的に5000人が働いています。

緑溢れる中庭とテラスに併設されたカフェテリア、開放的な社員食堂に加えて、ゲームセンター、バスケットボールやペタンク(フランスで生まれた球技)などのコート、コンサートホール、フィットネスセンター、瞑想室や仮眠室、イベントセンターもあります。コーヒーチェーン店が入居し、ソシエテ・ジェネラルの路面店もあるので、さながら小さな町のような風景です。

社員は出社後、自分のロッカーから荷物を取りだし、その日のプランニング、仕事内容によって好きな場所を選んで仕事をします。専用のデスクがある人は一人もいません。立ったままで素早くミーティングができるスペース、くつろいだ雰囲気で会合できるソファのあるスペース、周囲に迷惑をかけずに電話をかけられるブースなど、従来の職場環境とは一線を画した空間構成が特徴です。

アプリケーション「My Building」を使って様々な種類の会議・会合スペースを予約して利用したり、レストランの混雑状況やチーム員の居場所をリアルタイムで確認することもできます。社員一人ひとりがフレキシブルに効率よく仕事できるだけでなく、効果的なチームワークが可能になる。レ・デューンはそんなデジタル時代の新しい働き方を実践できる革新的な場です。

※1 Les Dunesの映像:https://www.youtube.com/watch?v=5hhbSBh9FkM

【付録】数字でみるテレワークの現状

・84% 週1日
・6%  週1.5日か2日
・12% ハーフタイムにも普及

・60% ラ・デファンス勤務の社員
・33% パリ南東のテクノポール勤務の社員
・7%  その他のパリ近郊施設勤務の社員

・90% マネージャークラス
・49% 男性社員

・95% 同僚からよい評価を得ている
・97% チームのパフォーマンスがアップもしくは維持
・96% チームワークに支障はない

・99% テレワークに満足し毎年契約の更新をしている

(数値はテレワーカー全体における比率)

出典:ソシエテ・ジェネラル社内資料

2018年07月05日