定点観測 日本の働き方テレワーク(2019年3月版)

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国土交通省「テレワーク人口実態調査」によると、2017年の雇用者に占めるテレワーク制度等に基づく雇用型テレワーカー(※)の割合は9.0%であり、前年と比較して1.3%pt上昇した(図1)。このペースでテレワーク実施者の割合が上昇すると、2020年には12.9%になる計算となるが、政府目標(※)を踏まえると、もう少しそのペースを加速したいところである。

リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査(JPSED)」を使って、テレワーク制度を導入している企業に勤めている人の割合を従業員規模別にみてみると、5000人以上の企業が16.0%と最も高く、100人未満の企業が3.5%と最も低い(図2)。次に制度導入企業でかつ自分が制度の対象者となっている人の割合をみると、依然として5000人以上の企業が5.9%で最も高く、100人未満の企業で2.2%と最も低いが、制度導入企業勤務者の場合と比べると、その差は縮まっている。そして制度対象者でかつテレワークを実際に利用している人の割合でみると、その差はさらに縮小する。大企業はテレワーク制度を導入しているものの、実際に利用できている人は限られている。

仕事の性質別にテレワークをしていた人の割合をみると、「自分で仕事のやり方を決めることができた」人はそうでない人と比較して、テレワークをしている人が5.3%pt高くなっており、テレワーク制度を実際に利用できるかどうかは、職場のマネジメントが大いに関係しそうだ(図3)。
テレワーク制度は導入するだけでは意味がない。雇用者が仕事を自律的に行えるためのマネジメントや、テレワーク制度を気兼ねなく使える職場環境などの整備も推進したい。

※雇用者でありかつ会社の規定などに基づきテレワークをしている人
※政府目標:2020年までにテレワーク制度等に基づく雇用型テレワーカーの割合を15.4%とする

図1 テレワーク制度等に基づく雇用型テレワーカー
出典:国土交通省「テレワーク人口実態調査」
注:雇用型とは「民間会社、官公庁、その他の法人・団体の正社員・職員、派遣社員・職員、契約社員・職員、嘱託、パート、アルバイトを本業としていると回答した人」。テレワーカーとは、「これまで、ICT等を活用し、普段仕事を行う事業所・仕事場とは違う場所で仕事をしたことがあると回答した人」。

図2 テレワーク制度導入企業勤務者、
うち対象者、うち実施者割合(企業規模別、2017年)

出典:リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査(JPSED)2018」
注:x18を用いたウエイト集計を行っている。

図3 テレワークをしていた人の割合(仕事の性質別、2017年)
出典:リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査(JPSED)2018」
注1:x18を用いたウエイト集計を行っている。
注2:仕事の性質は、「自分で仕事のやり方を決めることができた」という質問に対して、「あてはまる」「どちらかというとあてはまる」を回答した人を「はい」とし、「どちらともいえない」「どちらかというとあてはまらない」「あてはまらない」を回答した人を「いいえ」とした。

文責:茂木洋之(研究員・アナリスト)
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