定点観測 日本の働き方就業(2019年4月版)

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総務省「労働力調査」によると、2018年の就業率は、15歳以上ベースで60.0%(前年比+1.2%pt)、15~64歳ベースで76.8%(同+1.5%pt)となり、就業率は着実に上昇している(図1)。就業率に関する政府目標※はすでに達成されている。また、労働力人口は6830万人と前年から+110万人と増加(同+1.6%)、非労働力人口は4263万人と前年から-119万人と減少(同-2.7%)しており、労働参加もしっかりと進展している(図2)。

順調に就業化が進んでいる環境下で、就業していない人とはどのような人なのだろうか。リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査(JPSED)」を用いて、非就業である人の理由の内訳をみてみよう。まず、非就業者には、就業希望だが働けなかった人と、そもそも就業を希望しなかった人がおり、そのほとんどは後者である(図3)。また、就業を希望しなかった人もいくつかに類型化できる。すなわち、①出産・育児・介護・家事など家庭の事情で働けない人(381万人)、②年齢や健康状態を理由に働けない人(1036万人)、③適当な仕事や能力がなく働くことをあきらめている人(320万人)、④働く必要がない人(899万人)、⑤特に理由がないが働かない人(810万人)などとなり、高齢者をめぐる就業余地が際立つ結果となっている(表1)。

2016年から2017年からの非就業者の理由の変化をみると、昨今の働き方の見直しを受け、家庭の事情や高齢により働けない人の割合が減っている一方で、働いていない理由は特にないという人が増えている(図3)。理由はないという人は、育児・家事など、過去の就業できなかった理由が解消されているのに働いていない人などが多く含まれているとみられ、こういった人を労働市場に参加させていくことも今後の課題であろう。

非就業の状態にある理由は多様であり、そのすべてが政策課題として非常に重要なものである。言い換えれば、就業の促進はこれらの政策課題を一つひとつ解決していかないとできない、最も基礎的な課題でもある。そして、就業率がここまで大きく改善しているのは、これらの施策がしっかりと進んでいる証左でもあるのだろう。今後も、高齢者の就業促進などを中心に総合的に施策を推進し、就業率がさらに高まることを期待したい。

※政府目標:2020年において15歳以上の就業率を57%以上

図1 就業率
出典:総務省「労働力調査」

図2 労働力人口と非労働力人口
出典:総務省「労働力調査」

図3 非就業者の理由別の内訳①
※クリックで拡大します
図3 非就業者の理由別の内訳①出典:リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査(JPSED)2017、2018」
注:x18、x17を用いたウエイト集計を行っている。

表1 非就業者の理由別の内訳②
※クリックで拡大します表1 非就業者の理由別の内訳②
出典:リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査(JPSED)2018」
注:x18を用いたウエイト集計を行っている。

文責:坂本貴志(研究員・アナリスト)
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