対談タイトル
未来予測ロゴ   日本人のゼネラルな応用力だけでは、もはや通用しない
     
大久保  

日本人以外の従業員の育成に特に力を入れる理由は?

 

西井  

これまでは、日本式のゼネラリスト人材を育成し派遣することで、海外事業をある程度うまく回せていた。しかし、あらゆる方向からライバルが参入してくるグローバル競争においては、ゼネラルな能力のみでは限界があります。

 

大久保  

それぞれの地域のマーケットをよく知る人材を、うまく活用すべきだと。

 

西井  

ええ。つい先日もアメリカウォルマート2500店に味の素の冷凍食品が納入されたという記事が新聞に載りましたが、5年前までは非常に苦戦していたのです。状況が変わったのは、開発責任者と販売責任者を日本人からアメリカ人に代えたときからです。

 

大久保  

日本人の場合とどこが違ったのでしょう。

 

西井  

たとえば、日本人のときは、エビシュウマイとかチャーシューチャーハンを一生懸命開発していたのですが、そのアメリカ人開発責任者はオレンジチキンの開発を始めたんです。オレンジソースがかかったこのレシピのほうがアメリカ的だと。

 

大久保  

日本人には発想できませんね。

 

西井  

できません。販売にしても最初からウォルマートをよく知る人を登用した。それが現地に適合する、ということです。

 

大久保  

食文化は特に地域特性が強いですよね。

 

西井  

バイオファインビジネスにもいえるのです。たとえばアメリカにあるグローバル企業は、グローバルに展開しているといっても、彼らにとっては、やはり日本人よりアメリカ人相手のほうがビジネスしやすい。だったら、我々の基準ではなく、アメリカのお客様にとって優秀な人にやってもらうほうがはるかに効率的です。

 

大久保  

今後、ますます適材適所の必要性が高まると?

 

西井  

そうです。しかし、ローカル主導の人事制度、評価システムだけでは、我々が、その人をできる人かできない人か見極められない。それで先ほどの人事プラットホームが必要になるのです。400人強の基幹人材のなかに、将来にわたって活躍してくれる戦力がどの程度いるかも、我々は見極めておかないとならない。これが人事として極めて大事なことだと思っています。

 

     
未来予測ロゴ   次に必要なのは、マネジメントの世界共通プラットホーム
     
大久保  

先ほど、事業主導のグローバル化の先に、経営のグローバル化がある、というお話がありましたが、どのような展望をお持ちですか。

 

西井  

「ワンマネジメントシステム」というコンセプトだと思います。各事業本部、地域主導の意思決定と、グローバルな経営判断の仕組みを統合する必要がある。いろいろ方法はあると思います。現在も、事業ごとにすべきことを吸い上げて、本社の経営会議で決めるという仕組みですが、これではスピードが遅いし、本社にいる日本人の判断が優先されます。

 

大久保  

ガバナンス自体の変革が必要だということですか?

 

西井  

最初の話に戻りますが、経営判断軸を共有し、各地で判断できたほうがスピーディですよね。それが「ワンマネジメントシステム」というプラットホームなのです。共通の経営判断軸を各地域・国も持っていれば、「今、あの事業が投資を優先されるのは当然だ」という理解が生まれる。経営戦略が全社に明々白々になる。そうした戦略の透明性が、真のグローバルカンパニーになるためには欠かせないと思っています。

(TEXT/荻原 美佳 PHOTO/刑部 友康)

 

     
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