対談タイトル
プロフィール
未来予測ロゴ   現地人トップによる地域分権型グローバル化が進む
     
大久保  

1970年代に海外進出し、グローバル化の先進企業といわれています。国ごとに現地化していくスタイルが特徴的ですね。

 

日置  

はい。タイで安くつくりヨーロッパで売るというビジネスモデルではなく、市場ごとに「メイド・イン・タイランド」や「メイド・イン・インド」をつくる発想で一貫しています。私が英国コマツの立ち上げに関わった1980年代から既に、トップは現地化を唱えていました。

 

大久保  

最初から現地の人に経営トップを任せるシナリオがあったのですね。

 

日置  

ええ。3代目からイギリス人社長になりました。

 

大久保  

現在の戦略マーケットである新興国でも、現地化は進んでいますか。

 

日置  

インドネシアや中国などは既に現地人のトップです。新聞に中国では2012年までに、16社の現地法人すべてのトップを現地人にするとの記事が出て我々も驚きましたが、会長の坂根正弘も社長の野路國夫も、トップは現地の人で、それを支えるナンバー2が日本人という構図がいちばんよいと言っています。まさに、日本人のナンバー2が「人」という字のようにトップを支えるわけです。

 

大久保  

現地の人がトップになると、現地での採用力も上がるでしょう。

 

日置  

上がります。特に中国の場合、中国人にもキャリア発展の余地がある会社というイメージは、採用ターゲットに強く訴えかけるものがあります。

 

     
未来予測ロゴ   人事制度もそれぞれの国の考え方に応じて現地化
     
日置  

ただ、現地の人をトップにするには少なくとも10年はかかります。過去、失敗の経験があるのでヘッドハンティングはしません。コマツのなかで経験を積み、コマツをきちんと理解した人、“コマツ化”した人を登用する方針です。

 

大久保  

“コマツ化”を促すために、各拠点の人事制度もある程度統一する必要がありますか。

 

日置  

日本からグローバルの制度設計をするのは無理です。国ごとに人事の考え方も現場の発想も全然違います。評価もできないし、メンテナンスもできない。中国では、日本の職能資格に近い制度にトライしていますがほかの国での導入は難しいでしょう。それぞれの国に合った人事制度を考えるべきだと思います。

 

大久保  

海外人事交流についてはどうですか。

 

日置  

それもあまりやっていません。もともとが、頻繁な横の異動はすべきではないという考えなのです。組織の縦の関係のなかで育てられながら、溶接屋なら溶接屋、人事屋なら人事屋になっていくのが弊社のスタイルであり、そうした専門性こそが本人の自信の拠り所になると思っています。

 

大久保  

御社の職人集団的なイメージは、そうした、現場や専門性を非常に大事にされるところからくるのでしょう。それはグローバルでも変わらないということですね。

 

日置  

それでいいと思うんです。それぞれの地域の縦の関係のなかで育っていけばいいと思っています。

 

     
未来予測ロゴ   グローバル化を推進するのは語学ではなく専門性
     
大久保  

世界にマーケットを持つグローバル企業でありながら、基本的な思想は非常にローカリズムですね。日置さんはグローバル人材論にもネガティブだそうですが。

 

日置  

自分自身8年海外を経験しましたが、グローバルリーダーとはとても言えません。でも仕事はきちんとやり遂げた。皆もそうでしょう。つまり弊社のように、グローバルリーダー依存型ではなくフォロワーが進めるグローバル化もあるということです。先ほども、中国出張から戻った社員から、海外初駐在の社員が元気にやっていたと報告を受けました。自分のノウハウが現地に受け入れられ、現場が改善していく体験をしてキラキラ輝いていたと。

 

大久保  

自分の技術を喜んでもらえることが、モチベーションになる。

 

日置  

現地が求めているのは技術やノウハウの指導者です。まず必要なのは専門性で、語学ではないのです。

 

大久保  

早くから海外を経験すればいいというわけではない?

 

日置  

若くてもプロに育っているなら賛成です。私は30歳で海外に出ましたが、その時期までに、コマツの人事を学んでいたから現地の社長とも議論できたのだと思います。

 

     
  NEXT
↑page top