対談タイトル
未来予測ロゴ   信頼も愛社精神も継承せれていく
     
大久保  

世界三極体制が進んだ場合、本社機能はどうなりますか。

 

浦元  

100%海外に移すことはないと思います。オペレーションは三極中心でも、グローバル戦略や人材、エグゼクティブのコントロールは日本で行うことになるでしょう。

 

大久保  

すると一定レベル以上の管理職はグローバルと目線をそろえる必要が出てきますね。人事施策も変わってくるのでは?

 

浦元  

おそらく一番変えなければならないのが日本でしょう。さまざまな人事施策にグローバルでの活躍が期待されているというメッセージを入れ込む必要があるだろうと思っています。20代から海外を経験させたり、課長昇進にもTOEICを課したり。

 

大久保  

仕事のローテーション、アサインの仕方も変わりますか。

 

浦元  

そこまではないでしょう。既に出向ルールは世界共通であり、2001年に職能給から役割給に変えたことで、海外人事との違和感も少なくなったと思います。

 

大久保  

グローバル経営幹部の育成についてはどうでしょう。

 

浦元  

グローバルベースのエグゼクティブクラス研修はすでに実施してきました。スイスのIMDというビジネススクールを使った集合研修を行い、半年かけて経営に向けた事業提案をさせるプログラムでしたが、今は見直しをかけているところです。修了者をその後どう活用するかが課題になっています。

 

大久保  

グローバル人材は定着が難しい。以前ある外資系企業で、3年で回収できる教育しかしないという話を聞いたことがあります。御社では海外社員の教育についてはどのようなことを大事にしていますか。

 

浦元  

海外社員に喜ばれ、ずっと続いている研修に「東京セミナー」があります。世界中から管理職が集まり、日本を知る、キヤノンを知る研修で、これまでに1,000人以上動員しています。CEOやR&Dの最高責任者から直接話を聞けるだけで大変理解が深まると言います。なかでも同じ業務部門に1日滞在し日本のビジネスに触れるプログラムが好評です。日頃メールでやり取りしていても実際に顔を見て交流すると理解の深まり方が違う。幹部育成の対極にあたりますが、グローバル化においてはこうした企業の本質を共有するためのベース教育も大切かもしれません。

 

     
未来予測ロゴ   グローバル化の軸はやはり日本
     
浦元  

コミュニケーションスキルが低い人も増えています。パソコンに向っていると仕事した気になるかもしれませんが、人と向き合う意識、コンフリクトがないと人は成長しません。私は半分本気で、人事はパソコンを使うのをやめようと言っています。業務アプリケーションは使わざるを得ないものもありますが、メールなどは共通の端末があれば十分。実際、あるグループ会社で試したら本当に成果があったと言うんですね。管理職からパソコンをやめてみたら、部下とよく話すようになったそうです。

 

大久保  

生産性や効率を求め、あまりにもきっちり役割分担していくと組織活性が失われてしまう。非常に難しい問題です。

 

浦元   生産性の追求とかけがえのない付加価値を生む人材の育成。そのバランスを取るのが人事の仕事だと思います。そのためにも、人材の人となりは、本来人事がいちばん知っていなくてはならないのですが、組織が大きくなり見えにくくなっています。これも中長期の課題だと思っています。今後は、プロモーションに際して現場の責任者が選んだ人材が適性かどうか公平に判断できるようなアセスメントも、人事として持っておく必要があるのではないかと思っています。幸い新任課長研修など充実した情報収集の機会があるのでそれらを利用して、将来的にはエグゼクティブ人材の推薦なども、我々人事部門主導でできるよう、変えていきたいと思っています。

 

大久保   それが人事の本質かもしれませんね。

(TEXT/荻原 美佳 PHOTO/刑部 友康)

 

     
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