対談タイトル
未来予測ロゴ   特派員も1つの分野の専門家であってはならない
     
大久保  

今の日本はグローバル化の推進という大きなテーマに直面し、読者の関心も、外へ向かっているように思います。海外の駐在体制には変化があるのでしょうか。

 

和気  

特派員の総数に目立った変化はありませんが、国際報道のあり方は近年、大きく変わってきました。記者クラブ問題とも似ていますが、以前なら新聞を通じて得ていた海外の一次情報をネットで直に得ることができるようになっています。メディアを取り巻く環境がネットによって激変するなかで、新聞の国際報道はどうあるべきかは、編集部門で絶えず検討されています。結局、ネットとは一味も二味も違う独自情報と切り口がないと、読者から評価していただけない。そういう意味では、今の特派員は以前に比べ、より高い仕事のハードルが課せられています。

 

大久保  

特派員のキャリアにも影響が出るでしょうね。

 

和気  

はい。たとえば、かつての中国特派員といえば、大学で中国語や中国文化を学び、その後も中国への関心を持ち続けていた専門家タイプが多かったのですが、最近は変わってきました。現在の中国総局長は、もちろん中国語は堪能ですが、その前はアメリカのワシントン特派員でした。ある地域だけ詳しくてもダメで、複眼的に、地球的な視野で見ることが欠かせません。これは何も国際報道に限ったことではなく、主として国内を取材する政治部や社会部、経済部なども、タテ割りの垣根を低くして、記者の流動性と組織の風通しに気を配っています。朝日新聞社というのは元来、タテ割りの強い組織なのですが、環境変化に対応すべく、編集部門ではゼネラルマネジャーが全体を見渡して人事を行なう制度に改めています。

 

大久保

 

 

人の問題はとかく時間がかかります。変化を志向した場合、経営計画以上の長期視点で物事を考えなければなりません。今後はどうやって変化を推進していくのでしょう。

 

和気  

変化の時代にあって、現状維持はリスクです。かといって、変えればいいというものでもない。培ってきた強みまで失ってしまっては元も子もない。いくつかの改革を同時並行で走らせたうえで、うまくいったものは残し、ダメだったものは取りやめながら、時代の潮目を見極め、波頭に乗って、朝日新聞社という船の舵を絶えず修正し、帆をいっぱいに張り続けたいと思っています。

(TEXT/荻野 進介 PHOTO/刑部 友康)

 

     
対談一覧   BACK
■ 下記ご感想をお聞かせ下さい >>>こちら  ※ご感想は後日、サイトまたは冊子で匿名にて掲載させていただくことがございます。
1. この対談について
2. 日本企業全般の人と組織におけるこれから10年の変化について
↑page top