対談タイトル
未来予測ロゴ   順調に進む英語の社内公用語化
     
大久保  

ところで、いよいよ2012年7月に英語の社内公用語化が始まります。三木谷さんがこの件を最初に発表したとき、社内の反響はどうでしたか。

 

武田  

その話が出たのも朝会の場でしたが、皆、びっくりしていました。でも、なぜそうするのかは、すぐに理解されました。2010年から約2年間かけて徐々に移行を進めていくうちに、違和感を持つ人はいなくなりました。

 

大久保  

役員会はもう英語ですか。

 

武田  

はい。公用語化を発表した時点から英語です。マネジメント層のミーティングも既に英語になっています。7月からの全面実施というのは、小集団レベルの打ち合わせも英語でやる、ということです。現在グローバルで展開している日本のトップ企業の多くは、従業員を海外拠点や大学に派遣するなどして、15~20年ほどかけてグローバル化を図ってきました。そうしたトップ企業が長年かけて実現したグローバル化を、我々は5年で達成しようと決断し、まずは英語公用語化に舵を切ったのです。

 

大久保  

今回、我々がお願いした人事部長アンケートでは、「2020年に向け、英語を公用語にする企業が増える」という意見が4割、「増えない」という意見が6割でした。

 

武田  

そうですか。我々のようなインターネットのビジネスにおいてグローバルで勝ち抜いていくためには、世界の情報をいち早くキャッチすることが重要になってきます。特に最新のインターネットやテクノロジー情報は英語で発信されていることが多く、社員全員が英語で素早くダイレクトに情報をとっていくことが大切です。また弊社が典型ですが、外国人が執行役員として入ってくると、英語公用語化に弾みがつきます。私は外国人役員が経営会議の場で自由に発言できる環境をつくっておくのが、グローバル化に欠かせないステップだと思います。そこがクリアされないと、外国人を役員に登用する意味がありません。日本企業の場合、グローバル化というと、上から目線で、「自分たちの経営を全世界に展開しよう」という一方向に意識が向きがちですが、それだけでは不十分。ローカルの意見をどう取り入れるか、という逆の道筋もつくっておかないと。我々の英語公用語化はそういう意味もあるのです。

 

大久保  

御社は新卒における外国人の比率が3割と非常に高い。「役員会を英語でやる」というのは、彼らに対する「自分たちにもチャンスがある」という、よいメッセージにもなるでしょう。

 

武田  

おっしゃる通りです。週1回開催している経営会議には全執行役員と、世界の拠点のトップが全員集まり、テレビ会議システムを使い、すべて英語で、侃々諤々の議論を繰り広げています。経営層のグローバル化は、相当進んでいます。上が進むと下はついてこざるを得ません。三木谷は時間をつくって世界中を回っていますから、次はあの国を研究してくれ、あの国のあの事業を調べてみてくれ、といった指示も次々に入ります。

 

     
未来予測ロゴ   国ごとのプラットフォーム構築を誰が担当するか
     
大久保  

海外展開に関しては、ほかにどんな課題がありますか。

 

武田  

3つほどあります。1つは買収先から新たに楽天に入ってきた従業員のリテンションとポジショニングですね。楽天グループの一員として頑張っていただきたいのに、辞めてしまう人がなかにはいます。

 

大久保  

ネット企業ですから、肝心の人材がいなくなると資産価値も落ちてしまいます。

 

武田  

そうですね。あとは新しい国に出ていくとき、採用には苦労します。ネットビジネスの場合、本当に仕事ができるかどうかは、ある程度やらせてみないとわからない。そういう意味で、採用は非常に苦労しています。さらに、国ごとのプラットフォームの構築という問題があります。楽天のサイトには旅行やカード、広告、ゴルフと、ありとあらゆるサービスが集まっています。これを海外でも展開するとなると、国ごとに、次にどんな企業を買収して、楽天というプラットフォームをつくるかという高度な判断が必要になります。海外の責任者は、今までは自分の得意な事業単体を見ていればよかったのですが、それ以外の全体も見なければならない。そういう人材をどう育成するか、日本から送り込んだほうがいいのか、現地で採用して任せたほうがいいのか、難しい課題を乗り越えていく必要があります。

(TEXT/荻野 進介 PHOTO/刑部 友康)

 

     
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