対談タイトル
未来予測ロゴ   国内市場縮小に伴い、グローバル人材育成を強化
     
大久保  

しかしこの先、日本のたばこ市場が縮小すれば、そこで活躍している人材は、別の場所に移さざるを得なくなります。グローバルへの人材展開も必要になってきませんか。

 

松本  

そこなんです。これまでたばこ事業で活躍していた人が食品などに転じるのは容易ではない。この点は民営化後の多角化で試行錯誤してきたので、明らかです。となると、海外に活躍の場所を見出す以外にない。しかし弊社としては、親会社だからと強制的に人材を送るようなことはしたくない。JTIの人材と比べて遜色ない人材でなければ、現地にとって価値がないからです。ですから弊社の最大の課題は、国内人材をいかにグローバルで活躍できるレベルに転換するか、ということになります。そこで実施したのが、「JT/JTIタレント・パートナーシップ・プログラム」というプログラムです。第1段階の「ディベロップメントアサインメント(DA)」では20代後半から30代前半の社員を2、3年間、研修生的ポジションでJTIの海外事業所に出向させ、グローバルビジネスを体感してもらう。その後、日本で専門性を磨きJTIの正規のポストに就ける実力がついたら、今度は1年半から5年の期間、正社員として送り出す。これが第2段階の「ファンクショナルアサインメント(FA)」。そうして将来的にはグローバルビジネスリーダー/エキスパートとして海外市場で活躍してもらうのが目標です。現地のポストを担う人材としてJTIから認められた人材のみをFAとして現地に派遣しているのですから、日本に戻って来ずとも、そのままJTIでさらに上位のポストを目指してもいいと思っています。

 

大久保  

既にどのくらいの人材が派遣されているのですか。

 

松本  

現在出向しているのは130人ほどですが、海外勤務経験のある社員数は500人ほどになっています。こうしたグローバル人材プールに、必要があればいつでもJTIが声をかけてくるような、垣根のない人事交流が進んでいけばいいと考えています。

 

     
未来予測ロゴ   人事交流にあたり人事制度の統一は必然の流れ
     
松本  

もう1つの課題が人事制度の統一です。日本固有の人事制度は人事交流の大きなネック。日本人だけ特別ではいけません。グローバルスタンダードに則った人事システムに統一していくことは、中長期の課題として避けられないと思っています。

 

大久保  

今、いちばんポピュラーなのは、部長クラス以上をグローバルで統一し、課長以下についてはローカルの文化や法律体系を残すやり方。なかにはすべてどちらかに合わせてしまう会社もありますが、どちらの方向をお考えですか。

 

松本  

どこの国もある程度の法制、労使慣行はあり、一定階層以下には、各国固有の人事制度を残しているところが多い。日本もそうなるイメージです。あとは、ビジネスリーダーの育成も課題ですね。これまでのようにJT本体役員のみを想定して育てるのではなく、海外の主要ポストを経験してJT本体に戻る、あるいはJTIの経営幹部になっていくなど、グローバルベースで活躍できるリーダーを育成するプログラムに変えなくてはなりません。そこで問題になるのが、育成スピードです。

 

大久保  

海外では管理職層が非常に若い。役職横並びで見ると日本人だけだいぶ年齢が上ですね。

 

松本  

JTも、45歳くらいで役員になるのが当たり前にならなくてはならない。それにはその前段階でいくつかの管理職経験が必要なので、遅くとも30歳前後でマネジメントを始めるというスピード感が必要です。

 

大久保  

報酬体系の統一も必要です。これは非常に難しいですね、特に上位層が。

 

松本  

海外では上位層の報酬がとてつもなく高い。時間はかかりますが、日本でも同じような体系になってくると思います。

 

大久保  

人事管理システムも、一元化する必要が出てきますね。

 

松本  

JTIは独自の人事管理システムを持っていて、あるポストに空きが出ても、一定の要件を入力すれば一瞬にして適材候補がリストアップされるようになっています。日本がそこに相乗りするにしろ、日本の人材の能力や各仕事に求められる力量をいかに適切に分析しデータベース化するかということが人事の重要な課題になってくると思います。

 

大久保  

一方で、そうしたグローバル化に乗り切れない人材も当然出てきます。それについてはどのような課題をお持ちですか。

 

松本  

今までは平等主義で、社員は同一の給与体系でしたが、今後は明確な区分けが必要です。モチベーションに気遣いながら、うまくやっていかなくてはなりません。

 

大久保  

日本企業は、これまで総合職一本でやってきましたが、グローバル化の進展とともに、異なるキャリアパス、異なる処遇、評価ルールを持つ企業が増えていきそうですね。

(TEXT/荻原 美佳 PHOTO/刑部 友康)

 

     
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