対談タイトル
未来予測ロゴ   後継者育成機関の定員3分の1を社外に開放
     
大久保  

5000社とは結構な数ですから、数を確保するにはM&Aがますます重要になりますね。企業調達のみならず、人材調達の手段にもなるわけですから、採用という概念がずいぶん、広がります。その結果、今まで以上に、多種多様な人がグループのメンバーになるのではないでしょうか。

 

青野  

そうですね。それを象徴しているのが孫正義の後継者を育てるために開設したソフトバンクアカデミアです。孫正義は54歳ですが、「60代で後進に道を譲る」と、「人生50カ年計画」の中で言ってきました。それが60歳なら6年後、69歳なら15年後です。次の後継者の年齢が40代半ばから50歳だとして、交代が6年後だとしたら、いま30代後半~40代の人間なわけです。ところが、いざ社内を見渡すと、その年代に、ふさわしい候補人材が十分とは言い切れない。それで、「後継者の候補が社内の人間だけである必要はあるのか。そもそもサラリーマンに孫正義の代わりが務まるのか」と発言したら物議を醸しましてね(笑)。最終的に、アカデミアの入学資格を社外にも広げることにしたのです。

 

大久保  

開校が2010年の7月でしたね。どのくらいの人が集まったのですか。

 

青野  

全体の枠が300人で、うち30人を外部枠としたのですが、蓋を開けてみたら、応募の意志を表してくださった方が1万人を超えたのです。社内の応募は約1000人でした。1000人のうちの270人と、1万人のうちの30人だと、倍率が開きすぎです。そこで枠を変えて200人を社内、100人を外部としました。

 

大久保  

外部からはどんな人が集まったのでしょう。

 

青野  

いずれも多士済々で、企業人が半分、あとの半分が経営者、医者、官僚、大学教授、コンサルタントなどです。せっかくの場ですから、アカデミアで学んでもらうだけではなく、一緒に事業を興すこともあるでしょう。そういう協業を通じてお互いを理解しつつ、ゆくゆくは本当に孫正義の後継者になってもらう。そういう面白い動きが起こればいい、と思っています。

 

     
未来予測ロゴ   この時代、経営者になるのは早いほうがいい
     
大久保  

経営者になるトレーニングは早ければ早いほどいいでしょう。熟達の研究というのがあるのですが、どんな分野でも、人がプロの入り口に立つまでに10年、プロになってピークの業績をあげられるまでに10年、合計20年の期間が必要なのだそうです。仮に50歳でトップになるとしたら、30歳の時点で、経営者としての仕事を始めないとものにならない、ということです。ましてや、海外企業の場合は40代のトップが当たり前です。体力と気力にあふれた、そういうトップと互角に渡り合うには、日本企業のトップも大幅に若返る必要があります。孫社長の後継者以外に、そういう経営者を少なくとも5000人育てなければならないわけですね。

 

青野  

はい。起業したり買収したり5000社という数になっても、潰れる企業もあるでしょうから、その何倍、何十倍もの数がいります。必然的に、潰れた企業の後処理を行い、失敗要因を分析し、次につなげる仕事をする部隊も必要になると思います。

 

大久保  

以前、事業再生を担当するターン・アラウンド・マネジャーを育成する委員会に出ていたことがあるのですが、アメリカではそういう仕事はとにかくハードでストレスがたまりますから、高額の年収を保証し、何度かに1度で成功すればペイするようにして、休養できる期間も保証するようにしているそうです。

 

青野  

それはいいやり方ですね。参考にします。

 

大久保  

30年、300年という長期視点でものを考えると、常識にとらわれない発想やアイデアが生まれてやはり新鮮ですね。

(TEXT/荻野 進介 PHOTO/刑部 友康)

 

     
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