対談タイトル
未来予測ロゴ   顧客満足の延長上に、従業員満足と地域雇用がある
     
大久保  

一般的に、顧客にサービスをしようとすると、会社の利益や従業員の満足が犠牲になることが多い。けれども御社のビジネスは、両方プラスになる構造になっていますね。

 

大谷  

そうです。挨拶や運転マナーがよくてお客様が満足すると、次のご利用に繋がる。ましてそれが自分指名の注文であれば、それは自分への評価そのものですから一番のモチベーションになります。

 

大久保  

顧客満足が従業員満足を生み、さらには地域にも、主婦をしながらパートタイマーとして働く、あるいは高齢者の再就職といった働き方の多様性を生んでいます。事業利益を追求する活動が地域への貢献にまでつながっている。

 

大谷  

お客さまに一刻も早くお届けしようと思えば、朝8時から10時までの在宅時間帯に配達を集中させ、仕分け作業は早朝に行うのが望ましい。そうなると正社員だけでは対応しきれないため、早朝からの雇用や朝8時から10時までの短時間雇用などが生まれたのです。柔軟に働ける地域の方にそれをお手伝いいただくことが、結果的に地域貢献になりました。

 

     
未来予測ロゴ   グローバルでも、現地化と日本式徹底の両立に挑戦
     
大久保  

2019年に海外売上げ比率20%以上という目標を掲げています。御社が海外マーケットでシェアを取れる余地は?

 

大谷  

多分にあります。今はアジアでもだいぶ通信販売が進んできました。国際宅配を手がける会社も既に存在しますが、時間帯を区切って届ける、冷たいまま届ける、ましてや帽子を取って挨拶しながらお客さま本人に届けるというサービスはまだありません。特にアジア地域は日本と文化的に近いので、効率優先の欧米よりも、我々のサービスに共感してもらえる余地が大きいと思っています。中国や東南アジアが現在の戦略重点地域です。

 

大久保  

海外でも、顧客満足を起点とした日本式のマネジメントを展開していくのですか。

 

大谷  

人材は完全現地化を目指していますが、マネジメントは原則、日本式です。“ラストワンマイル”でお客様に満足していただくサービスは我々の仕組みでないとできません。現地の考え方とぶつかることもありますが、若干アレンジしながら、日本と同様に制服を着てもらい、マインド教育をしています。

 

大久保  

国内以上に多様性の高い海外で、どう顧客満足を浸透できるかが課題ですね。

 

大谷  

ええ。ですからサービスマインドを持ったセールスドライバーしか採用しない原則は崩さないつもりです。採用面接はすべて通訳をつけ日本人が行っています。感動体験ムービーも、英語版、中国語版、マレー語版、広東語版に翻訳して面接前に見せていますが、涙している人もよく見かけますよ。

 

大久保  

感動に国境はないのでしょう。現地人の管理職も出ていますか。

 

大谷  

中国、東南アジアの営業所は全員現地人です。現地本社のマネジャークラスも基本は現地人。日本人が担当するのは現地が体験したことのないサービスの営業だけです。中国では既にトップも現地人です。

 

大久保  

管理職の立候補制など、特に中国は手を挙げるセールスドライバーが多そうですね。

 

大谷  

ええ。実際、立候補して管理職になった人も出ています。上海やシンガポールでもそうした見本を増やし、ヤマト運輸はそういう会社なのだと理解してもらうのがいちばんよいと思っています。

 

大久保  

顧客満足の追求が多様な雇用を生むというビジネスモデルが、日本だけでなくアジアにも広がっていくと、社会に対する非常にポジティブなメッセージになります。

(TEXT/荻原 美佳 PHOTO/刑部 友康)

 

     
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