対談タイトル
未来予測ロゴ   1人の採用にエネルギーをかける
     
大久保  

グローバルやダイバーシティというのは、かなり達成されたとお考えですか。

 

中島  

正直、まだ道半ばですよ。というより、ビジネスのほうが半歩先を行ってしまい、人事はそれに遅れているといったほうがいいかもしれません。

 

大久保  

ガン領域に力を入れているということですが、人の採用はうまくいっていますか。

 

中島  

採用はアメリカの人事が担当していますが、欠員がなかなか埋まらないようです。それだけ、人材要件が厳しく、また獲得競争が激しいということでしょう。

 

大久保  

GCLという戦略自体が、その分野の専門人材を惹きつける材料になりますが、加えて研究者に他社より魅力的な仕事環境を用意してそれを打ち出す必要があるでしょうね。

 

中島  

そうですね。大きな課題です。また、日本と違うのは、人材の流動性が高いこと。特に1人の優秀な人材が移ると、自分も移ってその人の下で働きたいという人が多い。アメリカの大統領とそのスタッフの関係と同じですね。最近、ある製薬会社から来てくれたアメリカ人は内科学会の重鎮でもあり、優秀な元部下を何人か引き連れてきました。

 

大久保  

自分の知り合いを連れてくるネットワーク採用は日本ではあまり行われていませんが、ほかの国では常識です。採用が成立した時点でお金を払う企業もありますが、日本の場合、それをやると職業安定法に抵触してしまうのです。これは日本企業全般にいえることですが、中途で人を採用することがあまりうまくありません。裏返していえば、新卒一括がやはり採用の王道ということです。

 

中島  

その点、1人採用するのに大変なエネルギーと時間をかける欧米のやり方を我々も見習わないといけません。

 

     
未来予測ロゴ   リーダー・フォロワーの関係開発を
     
大久保  

今までお聞きした、採用と育成以外の課題に関してはいかがでしょう。

 

中島  

横軸に個人と組織、縦軸に管理と開発と置く4象限を考えた場合、1990年代の終わりから、個人・管理に関する施策が目白押しだった半面、組織・開発に関する施策がなおざりにされてきたと思います。成果主義しかり、360度評価しかり、コンピテンシーしかり。手遅れにならないうちに、ここを何とかしなければ。逆に、アメリカ企業は1980年代から組織開発に非常に力を入れてきています。個人主義の国だから、チームで成果を出すということに意識的に取り組んでいるようです。

 

大久保  

組織開発は日本企業のお家芸であり、人事があえてやらなくても、という慢心があったのかもしれません。

 

中島  

そうでしょうね。たとえば360度評価をやって部下からの評価が悪くて悩むマネジャーがいたとしても、その悩みを聞いて助言してくれる駆け込み寺の機能が今の人事にはないのです。

 

大久保  

「チームで成果が出せない」のは、部下にも問題があるのではないでしょうか。つまり、リーダーに対して健全なフォロワーシップをとれる部下が少なくなっている。フォロワーには、リーダーのことを理解共感し、しかるべき貢献を行うこと、困難に直面したリーダーに対して建設的な提案や、場合によっては批判も行うこと、この2つの役割が必要です。

 

中島  

幸いなことに、この人のあとについていけば大きな成果につながるはずだ、という上司に私は恵まれてきました。組織開発のなかでも、まさにリーダー・フォロワーの関係開発が重要だということでしょう。

(TEXT/荻野 進介 PHOTO/平山 諭)

 

     
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