対談タイトル
未来予測ロゴ   ありとあらゆる顧客に対峙するのが鉄鋼業の宿命
     
大久保  

先ほど、社員の志や意欲の向上といった話が出ましたが、具体的にはどうされるのですか。

 

佐藤  

2003年に、さまざまな部署のミドルが集められ、本社に製造実力向上委員会という組織がつくられました。そこで抽出した柱の1つが「モノづくりの活性化」ということでした。たとえば、高度成長期にはわが社においても製品の品質向上を目指した自主管理活動(JK)がさかんに行われていましたが、いつの間にか活気が失われつつありました。これを再活性化させようと、従来は製鉄所でのみ行っていた活動に本社で開催する全社大会を加えました。JKの中心を担う現場第一線の管理者たちのほとんどは、本社に来たことがありません。さらに役員などの幹部も全社大会に出席するというわけですから、やる気はいやがうえにも高まりました。人員削減による合理化、生産設備の合理化と違い、こうした総合的な生産性向上はまさに人事施策が鍵を握ります。前2者と比べ、その効果を測るのは難しいのですが、飛躍的な成果を期待したいと思っています。

 

大久保  

東日本大震災をきっかけに、個人主義的な考えが企業のなかでも弱まったのを感じます。強い個人をつくるのではなく、強いチームをつくる。そういった志向が強くなってきたようです。御社は昔からこの考えは変わらないようですね。

 

佐藤  

そうですね。鉄は産業の基盤ですから、苦しい時でも逃げも隠れもせず、真正面から、ありとあらゆるお客さまと向き合わなければなりません。そのために必要なのは個人よりチーム、そして組織です。それが鉄鋼業の宿命なのです。新入社員にはよく言うんです、うちで仕事するのはしんどいよ。でも、人生を歩むが如く仕事をしたいのなら、こんなに楽しい職場はないよ、と。

 

大久保  

ずばり、どんな人材が理想ですか。

 

佐藤  

学生には2つの条件を伝えます。ひとつは、普遍的価値観をもち、人として必要な素養を本質的な目的のために身につけることを怠らない人、もうひとつが正義に根ざした価値観で行動できる人。加えて、就活のマニュアル本の類は読むな、とも言います。そんなものを読む暇があるなら、自分はこれまでどうやって生きてきたか、これからどうやって生きていくかをしっかり考えなさい、と。

 

大久保  

賛成です。私も、マニュアル本は読むな、と学生に言いますよ。

(TEXT/荻野 進介 PHOTO/刑部 友康)

 

     
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