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面接は商談。『魅力的な条件』を用意する
日系企業は、北米で現地人材を採用する際に、「面接に呼ばれた事に、感謝の気持ちを表意しない候補者もいる」という文化的な違いを心得ておく必要がある。面接では、現在の勤務先や競合会社よりも自社の方が良い契約内容であることを、候補者に納得してもらわなければならない。採用する企業は面接を「商談」として捉え、商談のように優れたコミュニケーション能力を駆使して最良の条件を提示することが求められる。
たとえ良い求人案件だったとしても、候補者は、転職に伴う引越し、長距離通勤、職場環境のイメージ、上司となる人が魅力的に映らなかった等々、千差万別の理由で辞退しかねない。リクルーターは、求人案件の良い点と悪い点を明確にし、決断に迷う候補者を説得できる条件を提示しなければならない。
リクルーターが持つ最強の武器は、候補者へのオファーの内容を柔軟に決められることである。リクルーターが候補者の好みに応じた職務を作り出せれば、採用につながる可能性は高まる。例えば、ある広告会社では、部長職の候補者を獲得するために、自分の会社経営業務を週1回認める条件を提示し、採用に漕ぎ着けた。一昔前は、こうした副業を認めるような行為は全面的に禁止されていたものだが、現在は有能な人材を獲得するために、ユニークな方法を導入する柔軟さが求められている。

会社規模は小さくても、急成長できる仕事がいい
リクルーターがどんなに有能だったとしても、企業の評判が悪く、Glassdoor.com(グラスドア・ドットコム。従業員から見た企業の評価をまとめたサイト)などで従業員からの評価が低い場合、優秀なプロフェッショナルやマネジャーを獲得するのは非常に難しくなる。また、働く場所として魅力的ではない企業の場合、人事は勧誘する方法の改善だけでなく、職場そのものを変えなければならない。
北米の人材は、外資企業で働きたがらない風潮が一部にあり、日系企業や非米国企業にとって不利な一面もある。候補者は、経営陣とのコミュニケーションで文化や言語上の問題があることを危惧し、どこまで意思決定の権限が与えられるのか懐疑的になっている点もある。重要な決定事項は全て日本の本社で行われ、その意思決定にかかわる機会が限られるポジションとなると、意欲的な北米のマネジャーは応募を躊躇するだろう。

また、大手企業がキャリア形成に最適な職場と思われなくなっていることも、日本の大手企業にとっては厳しい状況である。多くのマネジャーは、会社規模は小さくても大きな役割が与えられ、早い段階で成長できるようなチャンスのある仕事を切望している。
大手企業や(日系企業を含めた)外資企業は、求める人材が振り向くような雇用条件の創出に最大限努力するに尽きる。

任期付のマネジャーが増えている
興味深い傾向として、北米企業ではマネジャーやプロフェッショナルを正社員でなく任期付の契約社員として採用する動きが広がっている。この流れを汲みとったMBA&Company社は、欧米諸国トップ校でMBAや博士号を取得したフリーのコンサルタントを検索できるマッチングプラットフォームMBAco.comを運営しており、企業はこのようなサービスを利用して数週間~2年位のプロジェクトマネジャーなどを確保している。また、Contingent Workforce Solutions社が提供しているようなインディペンデント・コントラクターの採用や給与業務のサービスを利用して、従来の臨時労働者だけでなくシニアマネジャーを含めた様々な専門性の高い人材にアクセスすることもできる。
David Creelman(デイビッド・クリールマン)
北米で有能な人材を採用するのは難しく、コストがかかり一筋縄ではいかないだろう。企業は優れたソーシング機能を利用して、採用につなげるアプローチ方法を柔軟にしなければならない。日系企業は手法を選り好みせず、日本とは異なる北米のタレント市場のやり方を受け入れるべきである。

 

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David Creelman
(デイビッド・クリールマン)氏

クリールマン・リサーチ社CEO。人的資本管理に関する研究、調査、執筆、コンサルティングに携わる。米国、カナダ、欧州のコンサルタントや研究機関を顧客に持つ。長年カナダ及びマレーシアで経営コンサルタントを経験した後、HR情報サイト「HR.com」のナレッジマネジャーを務めた。ウエスタンオンタリオ大学でMBA取得。

 

2015年02月02日