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外部労働市場が発達した北米(米国・カナダ)で、企業はどのように専門性の高い人材や即戦力となる管理職・管理職候補を発掘し、獲得しているのか。日本企業が知っておくべきポイントは何か。北米の採用事情に詳しいクリールマン氏(クリールマン・リサーチCEO)によると、その方策は主に2つあるという。

◆求める人材は、待つのではなく最適な「ソーシング」で発掘する。

◆面接は商談。面接では優れたコミュニケーションと柔軟で魅力的な雇用条件を備えて、交渉に挑む。

 


北米で、専門性の高い現地人材やマネジャーを採用する方策

北米では、専門性の高い人材やマネジャーが不足しており、多くの企業が採用難に直面している。優秀な応募者が定員より多く集まるのは、Google(グーグル)など一握りの大企業に限られ、求めるスキルに合致する候補者を見つけるのは非常に難しい。一方、効率性を重視する組織では、生産性が高く即戦力となる人材を求める傾向にある。管理能力が高い有能なマネジャー候補者であっても、専門分野が合わなければ採用条件を満たす人材として見なされない。

北米企業が採用難に対処して優秀な人材を勝ち取るための方策は、主に2つある。1つめは主体的に人材の発掘に着手すること、2つめは採用される人材にとって魅力的な条件を提示することである。

SNSやビッグデータを活用した主体的な「ソーシング(人材の発掘)」
北米における従来の人材発掘は、『post and pray(求人広告を出して祈るように待て)』と言われており、企業は求人広告を出して良い候補者が応募してくるのを祈りながら待っていた。このような受身型の手法に代わって、現在は主体型の人材の発掘を意味する『ソーシング』が主流となっており、リクルーターの職域を超えて新たな専門分野として捉えられている。

有能な人材をソーシングするためには、ソーシャルメディアのLinkedIn(リンクトイン)を活用して優秀な候補者を積極的に探す方法などがある。企業のリクルーターは、今やエグゼクティブサーチ会社に似た業務を行っており、企業に就業中の人材にコンタクトを取り、自社の求人ポストに応募するよう勧誘する。リクルーターのほとんどがリンクトインを利用して人材を発掘しているため、需要の高いスキルを持つ人材は必然的に多くのオファーを受けることになる。

リンクトインの他に、2011年に設立されたGild(ギルド)が提供するプログラマー発掘のサービスは、ビッグデータを活用した採用手法として興味深い。ネット上でプログラマーの情報を検索し、アルゴリズムを用いて彼らの能力を判断する機能である。ギルドのサービスは人間のように巧妙な判断はできないが、一度に何万人もの候補者を判定する事ができ、ビッグデータ時代のソーシング手法として注目される。

有望な人材と接点を持っておく
もう1つの手法は、企業が求人情報を公開するかなり前の段階から、有力な候補者と人脈を構築しておくことだ。例えば、あるエンジニア会社がニュースレターを通して自社の情報を提供する際に、採用ターゲットとなるエンジニアのメールアドレスを把握し、人材をプールするというやり方が挙げられる。この場合、求人を公開した段階でエンジニアが応募する可能性が高まるだろう。

有能な人材を獲得するのが難しい職種ほど、リクルーターはプールしている人材と積極的にコミュニケーションを取っている。有名なゲームシナリオライターといった高度専門職の場合、リクルーターは公募する前から採用ターゲットとなる人物の情報を把握している。

米国の採用ビジネスは高度化されており、あらゆる企業が専門的なサービスを提供している。しかし、グローバルに事業展開する大手エグゼクティブサーチ会社でさえも、仲介した人材が解雇されるなど成功率の低い場合があり、全ての会社が優れた人材を発掘できるという訳ではない。現在抱えている採用問題の解決には、最適な人材サービス会社を見つけることがカギとなるだろう。

2015年02月02日