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職業訓練所を最大限活用する
メキシコで管理職やスペシャリスト職の現地人材を確保するためには、州立職業訓練所を活用することが考えられる。例えばグアナファト州には、州が運営する職業訓練所が28 カ所あり、企業が希望する研修プログラムを組めるため、現地社員の研修や採用に活用することができる。プログラムの参加者は、自らの専門プロジェクトを持ち、訓練所内での座学と企業実習の両面で訓練を受けることができる。

工業高校の卒業生は、企業が求める基礎技術や組織人としての基本スキルを身に付けており、中間管理職候補として位置づけられている。しかし高校で学んだだけでは管理職としてのスキルが不足するため、就職後ある程度の年数を経て自分の仕事を覚えたら、次は管理職としてのスキルアップが必要となる。自社の管理職候補者を育成する場合、現場リーダーに必要な技術と経営を教える州立職業訓練所のプログラムに、社内教育と並行して参加させると良い。
また、日系進出企業がプログラムに参加した工業高校在学中の生徒のインターン実習を引き受けることにより、自社の仕事のやり方を学生に覚えてもらう方法もある。訓練所の座学で日本の管理者養成プログラムを提案し、自社が求める人材育成を進めれば、訓練終了後に自社で採用することができる。

職務記述書がもたらす効果
採用した人材を定着させて戦力となってもらうためには、日本人幹部社員との良好なコミュニケーションと、妥当性があり透明性が確保された人事評価を行うことがもちろん重要だが、それ以前に採用時、職務記述書を作成して、職務を明確に文書で示しておく必要がある。メキシコ人の労働慣行や人事制度は米国式に近く、職務の価値が重視される。

職務記述書の例:
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このような職務記述書を作成しておくことで、以下のような効果が現れる。

①    各職種の職務内容が明確になる
②    最適な人材の配置と、職種グレードの設定ができる
③    人材育成で、教えるべき仕事とその順序が明確になる
④    個人が次に目標とする役割が明示される
⑤    採用時に職務とキャリアアップのイメージを持たせることができる

日本の労働慣行とは異なるが、メキシコでは現地人材の採用時に「具体的な職務は何か?」「技能や経験に基づいた職位となっているか?」「職務グレードと報酬はどの程度か?」といった疑問を明確にしておくことで、採用した人材が定着し、戦略になることが期待できる。

 

瀧澤 寿美雄(たきざわ すみお)氏瀧澤寿美雄氏
株式会社メヒココンサルティング 代表取締役
ハリスコ州貿易投資日本事務所所長。
元メキシコ経済省駐日代表部アドバイザー、ジェトロ新興国進出支援専門家(平成26年度)、中小機構国際化支援アドバイザー(平成26年度)

 

 

長坂 保男(ながさか やすお)氏長坂保男氏
株式会社メヒココンサルティング 顧問
家電メーカーグループ商社で中南米の海外業務に従事した後、
2010年にコンサルタントして独立し、事務所開設。中小企業大学などの講師、企業の海外事業支援や研修実績多数。
中小企業診断士、スペイン語通訳案内士

2015年04月06日