Column

メキシコでは、中間管理職や幹部候補生が売り手市場にあり、特に技術と管理能力を兼ね備えた人材のニーズが高まっている。
日本企業のメキシコ進出支援を行うメヒココンサルティング代表取締役の瀧澤寿美雄氏と顧問の長坂保男氏が、メキシコでの採用に関する問題点とその解決方法を解説する。

◆職業訓練所の提案型研修プログラムで、自社に合った人材を育成する。

◆採用前に、明確な職務記述書(ジョブ・ディスクリプション)を提示する。

 


メキシコで、自社に合った現地人材を確保する方法

日系自動車部品メーカーの進出ブーム
ここ数年、メキシコへの関心が日本企業の間で急速に高まっている。メキシコは、西半球の巨大市場・米国を抱える北米市場と、ラテンアメリカ最大の新興国・ブラジルを有する南米市場の中間地点にある。
この地理的な優位性に、海外戦略の有望な直接投資先として日本企業、とりわけ、自動車産業が注目した。現在、日本から進出する自動車部品メーカーの空前の投資ブームでメキシコ自動車産業は活況を呈しており、そのブームの陰で、現地人材採用のハードルが高くなっている。

メキシコの自動車産業では、企業の事業拡大に人材育成が追いついておらず、人材の需要と供給のミスマッチが日系企業にとって問題となっている。メキシコへ進出した日系企業の間では人材の奪い合いが起こっており、現地社員の技術職・営業職におけるリーダー人材の賃金が上昇傾向にある。経営幹部を養成する工業系大卒者の採用ニーズが増えているが、工業系大学の出身者は少なく、より高額な報酬を求めるため採用にいたっても定着率が悪いことがある。

メキシコでは、専門性を高めるキャリア形成が一般的で、職能による縦割型の人員配置となっているため、日本のように人事ローテーションを行うのが難しい。そのため、日本人社員の片腕となる管理職クラスの人材が育ちにくい。日系企業が事業を拡大するためには、日系企業の人材ニーズにあった管理職もしくは管理職候補者の育成や確保が課題となっている。

人材不足の中間管理職、コストが高いスペシャリスト人材
現地の製造業では、現場で工業高校卒の労働者を指導する中間管理職が不足している。特に求められている人材は、技術面と経営面の両方を理解し、マネジメントを行える管理職層。技術面では、品質管理の「QC7つ道具」などの手法を活用し、現状分析に則って工場全体や企業全体の生産を管理すると共に、マーケティングに基づく製品品質の水準向上を具体的に運営管理できる能力が求められる。経営面においては、経営計画の立案や資源管理、事業の原価管理等の能力が必要とされている。

また、スペシャリストの人材コストは高い傾向にあり、その報酬は日系現地法人の社長より高いことがある。例えば販売や税務面のスペシャリスト。メキシコ人のセールスマネジャーは、それぞれの業界に特殊なコネクションを持ち、顧客の責任者のリベートの取り扱いについても対応するため、販売トップとして欠かせない。そのほか税務の専門家も、変更が多いメキシコの税制について運用上の相談する必要があるため、社内に不可欠な存在となっている。
このようなスペシャリスト人材の採用に関して、現地法人が社内の職位による給料の序列に捉われ、専門能力が十分でない人材を採用してしまった失敗例をよくみかける。

2015年04月06日