Column

Wethisa Kanjanakaew 

3)管理職候補を育てる「タレント・パイプライン・プログラム」を導入し、採用チームを専門化させる
タイでは日用消費財メーカーA社が独自の「タレント・パイプライン・プログラム」を導入しており、求職者から高い評価を得ている。このプログラムは、管理職を志望する新卒者や既卒者を1~2年間で管理職の補佐役 へと育てる研修で、従業員だけでなく学生も参加できる。A社はこのプログラムを長年実施することで、成績優秀で高い英語力を保有する管理職志向の強い人材を獲得してきた。
また、多くの企業が社内の採用グループを専門化させ、テクノロジー分野のリクルーター、キャンパスでの新卒採用、エグゼクティブのリクルーターなど、役割を特化させている。
上記のA社は、ヘッドハンター経験のある人材を採用し、管理職採用のコストを削減するために設置した社内の管理職サーチ・チームや大量採用チームのサポート役を任せている。同社の体制は、もう人材ビジネス会社に依存していないようだ。

4)ジョブ・ディスクリプション(職務記述書)は明確にする
ジョブ・ディスクリプションには、責務や業務内容、任務を成功させるポイントなどを記さなければならない。多くの企業が、優秀な人材を獲得するためにジョブ・ディスクリプションをマーケティング・ツールとして利用している。使い回しの任務や、誰でも書けるような一般的なフォームで説明しただけの求人広告では、優秀な人材は獲得できない。

5)リファラル・プログラム(従業員による紹介制度)の活用
リファラル・プログラムでは、従業員が直接候補者を勧誘できる点が有利である。私の経験から、最も競争が厳しい日用消費財メーカーや小売業の従業員は、業務の連絡が迅速で、リファラル・プログラムで質の高い候補者を獲得できている。これらの企業では、リファラル・プログラムで採用された人材の方が、同じ会社に長く勤務する傾向にある。従業員には、紹介した候補者が採用された場合、現金報酬や特別ボーナスを提供している会社が多い。

6)採用のスピードを加速させる
候補者の関心を引き留めておくには、短期で結論を出すための決断力、素早いオファーにつながる効率的な採用プロセスが非常に大事である。多くの候補者は同時に複数の企業からオファーを受けているため、決定が遅いと仕事をオファーする頃には、あっさりどこかへ行ってしまう。
最近私が担当した候補者の中にも、志望していた会社の面接回数があまりに多くて決定の連絡も遅かったために、他社への就職を決めてしまった人が多数いた。
採用活動の開始から候補者が雇用契約にサインするまでにかかる平均的な期間は、1.5~2カ月と言われている。

7)LinkedIn(リンクトイン)の活用
リンクトインは、企業と候補者の双方に人気の高い採用経路である。登録者にいつでも連絡ができるほか、個人や企業ブランドの構築、求人情報の検索、就職先企業に関する調査などができる。リンクトインにプロフィールを登録しているタイ人候補者は100万人以上で、会員数は増えている。

タイ、東南アジア諸国、新興市場といった人材不足の市場では、上記を考慮して人材獲得の戦略を立てれば、競合会社よりも早く、タイムリーに、適任者を獲得できるチャンスが舞い込んでくるだろう。

Wethisa_KanjanakaewEnglish Version

 

Wethisa Kanjanakaew
(ウェティーサ・カンジャナケーオ)氏
Bo Le Thailandでオフィス・リーダーを務め、エグゼクティブ・サーチに15年携わる。製造業、日用消費財メーカー、小売などの業種を中心に、人事、財務、販売・マーケティング、営業、総務といった職種のシニア・エグゼクティブ採用を専門としている。

 

 

 

2015年05月25日