Column

Indonesia Doi

上記だけから判断すると、インドネシアは給与アップのために転職を繰り返すジョブホッパーが多い国で、現地人材の採用や管理職の登用は困難に見えるのだが、私は個人的に、決してそうではないと考えている。
日系企業がインドネシアの採用マーケットで優秀な人材を採用し、長期にわたって戦力化するために6つのポイントを提案する。

採用を成功させるための6つのポイント
1)自社の「採用力」を正しく把握する
→採用マーケット全体における自社の立ち位置を把握し、同じような候補者を探している競合会社(同業界や同業種とは限らない)と比較した強み、弱みを正確に認識することが肝要である。候補者が自社をどう見ているのか、何が他社との差別化に繋がるのか、客観的な分析からスタートする。場合によっては待遇面を相場に合わせて改定する必要もある。

2)任せる仕事内容、求める人物像をシャープに言語化する
→ジョブ・ディスクリプションという概念に慣れていない日本人からは少々骨の折れる仕事ではあるが、責任範囲、権限、具体的な仕事内容についてできる限り文章に落とし、「何を任せたいのか」を明らかにする。そこから逆算して、どんな人に応募してほしいのか、定義し、対外的に示すことが必要である。

3)自社で働くメリットを、明確にアピールする
→ジョブ・ディスクリプションで定めた人物像は、どのようなメッセージや雇用条件に振り向いてくれるのかを検討し、採用活動(広報、面接でのアピール)に反映させる。従業員へのヒアリング等を通じて材料を集め、できる限りリアリティのある情報を打ち出すと良い。

4)双方への期待を、入社時点から正しく認識する
→経営者と従業員の信頼関係を築くためには、従業員がなぜ自社に入社すると決めたのか、何を得たいと思っているのか、何が達成できたら幸せなのかをきちんと認識することが大切といえる。採用後は、ジョブ・ディスクリプションに基づいて、期待することと評価方法を確認しておくことが必須である。

5)中長期的な育成計画を定め、徹底的に運用する
→ 一貫性のある育成や登用を継続させるためには、人事戦略や方針を策定し、社内に周知して運用していくことが理想である。入社時点での本人の期待と、入社後の状態にズレがないか、双方が期待した方向に正しく進んでいるか、定期的に面談を重ねて確認し、必要があればその都度、修正していくことが望ましい。駐在員が交代しても揺るがない人事制度や育成方法が必要である。

6)上記1)~5)について、経営層が主体的に関与する
→インドネシアでは、人事部門のポジションに外国人が就けないという法律があるため(2003年労働法第13号第46条)、駐在員がすべてコントロールすることは難しいかもしれない。しかし、人事部門や外部のエージェントに任せきりにするのではなく、上記プロセスに経営層が関与することで、結果的に経営戦略や戦術の実行力が高まると考えられる。

「事業は人なり」。インドネシアに身を置いて事業を営むなかで、自分自身が痛切に感じている。一社でも多くの企業が、採用力の向上に成功することを願ってやまないと同時に、人材業に従事するものとして、課題解決に引き続き邁進していきたいと強く思う。

 

profile Doi

土肥 幸之助(どい こうのすけ)氏
RGF HR Agent Indonesia(PT. BRecruit Indonesia)ゼネラル・マネジャー
2008年、リクルート(当時)に入社。
国内で5年間、HR事業部門に所属し、リクルートの海外における人材紹介事業、RGFに参画。
インドネシア拠点の立ち上げに際し、社内公募への応募を経て、2013年にジャカルタに赴任。
現在は、在インドネシアの日系企業向け人材紹介事業の責任者を務める傍ら、多国籍・ローカル企業への人材紹介事業も、インドネシア人のカントリーマネージャーと共に推進している。1984年富山県生まれ。一橋大学社会学部卒。

 

 

2015年05月11日