Column

ウォルト・ディズニー・カンパニーが受け入れるインターン生は、年間1~2万人。
多くのプログラム参加者を抱えながらも、個別に対応することで“人生を変える”職業体験機会の提供を重んじるという同社のインターンシップについて、採用担当ヴァイスプレジデント、クリスティー・ブリーン氏にうかがった。

2種類のプログラムで年間1~2万人のインターン生を受け入れ
ディズニー社には、2種類のインターンシップがあります(下表)。一つはディズニー・カレッジ・プログラム(以下、カレッジ・プログラム)で、パーク&リゾート事業分野限定のプログラムです。すでに30年以上の歴史を有し、パーク&リゾート事業分野のカルチャーとして定着している、当社にとって将来のリーダーのパイプラインでもあります。

もう一つのインターンシップは、ディズニー・プロフェッショナル・インターンシップ(以下、プロフェッショナル・インターンシップ)。当社の各事業分野で、特定の職能領域で身につけた専門知識を実践に生かす機会を提供しています。このインターンシップの目的は、新しい世代の斬新な発想を事業に取り込むこと。そして、タレントの供給経路を確保することです。双方のプログラム合わせて年間1~2万人のインターン生を、通年にわたって受け入れています。

ウォルト・ディズニー・カンパニーの2種類のインターンシップ

単位取得も可能なコース提供と上層部との接点を用意
インターンシップ期間は3ヵ月、5ヵ月、7ヵ月のいずれかで、特に5ヵ月間、7ヵ月間にわたる長期のインターンシップはユニークです。これだけ長期のプログラムに参加するためには、学生は大学を1セメスター休学しなければなりません。そのため、カレッジ・プログラムは米国教育協議会(American Council on Education)と提携し、単位授与が推奨されるコースを提供しています。大学で単位に認定されるコースを受講できることで、学生はプログラムに参加しやすくなります。

一方、プロフェッショナル・インターンシップでは、各配属部門の通常業務の他に、短期・長期の特別プロジェクトも任せて、配属部門の役員にその成果をプレゼンテーションしてもらいます。これにより、インターン生の体験がより有意義になると同時に、上級管理職者との接触機会も生まれます。また、上級管理職者が正社員登用オファーを出したいインターン生を特定する機会となります。

大量採用においても、あくまで個別対応を重視
採用するインターン生の数は1~2万人と大人数。また、プロフェッショナル・インターンシップには、1セメスターで10万人の応募があります。そのため、「応募者を単なる数として扱ってはいけない」と採用チームのメンバーに常に言っています。それは、ディズニーというブランドに寄せる人々の高い期待に応えるために必要なこと。我々の目的は人材をリクルートすることではなく、人生を変えることだと考えると、自ずと対応の仕方も違ってきます。

現在の学生の世代的特徴を考えると、個別対応はとても重要です。彼らは一人ひとり、ユニークで特別な存在だと感じたがっています。我々は数字で表されるデータ分析に基づく戦略立案を重んじていますが、一つひとつの数字の背後には人がいることを常に意識し、“人生を変える”という本来の目的がおろそかにならないように心掛けています。

プログラムへの満足度を高め、インターン生の口コミを重視
officeインターンシッププログラムを設計に際して、インターンシッププログラムにとって何が重要かを調査しました。その結果、インターン生が役に立っていると感じること、意味のある仕事をしていると思うこと、さらに、リーダーから大切にされていると感じられることが重要だということが明らかになりました。インターン生が働く際に、組織の上級リーダーと接触する機会を設けているのはそのためです。

また、プログラム終了時点でもサーベイやフォーカスグループ調査を実施し、彼らの期待を満たすプログラムであったかどうかを確認します。現在の学生は、ソーシャルメディアを通じて何万という友人に評判を広めます。そのため、インターン生に満足してもらうことが、口コミ効果を高める意味でもきわめて重要なのです。

正社員登用に至らなかったインターン生も貴重な人材プール
エントリーレベルの人材はインターンシッププログラム経由で採用します。現役のインターン生以外にも、以前インターンシップに参加した卒業生(alumni)も選考対象です。昨年、ディズニー・カレッジ・プログラムの修了者を対象に、Disney Alumni Association(ディズニー同窓会)を設立しました。この同窓会のFacebookには現在1万人がメンバー登録しています。彼らは、能力や適性が証明され、当社への就職意欲もある人材のプールにもなっています。

インターン生の大学卒業時に、ポジション不足などの理由で採用できないことがあります。けれども、卒業後3、4、5年後にブーメランのように当社に戻ってきてくれることを願っています。

約6,000人の海外学生をインターン生として採用
世界各国の主要大学からも、約6,000人の海外学生をインターン生として採用しています。当社がビザのスポンサーとなり、フロリダとカリフォルニアのリゾートに勤務する学生には、住居(有料)と通勤手段も提供します。

当社はグローバル企業。傘下にはESPNインターナショナル(スポーツ番組に特化したケーブル&衛星放送テレビチャンネルを世界各国で展開)、ウォルト・ディズニー・インターナショナルなど国際業務に特化した企業があるほか、パリにはパークリゾートもあります。グローバル企業らしく振舞い、これらの企業が一体として動けるよう、世界中でタレントとリソースの共有を推進しています。

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09_profileクリスティー・ブリーン氏
ディズニー・クルーズ・ライン部門国際採用およびキャンパス採用ヴァイスプレジデント
2013年3月から現職。それ以前は7年間にわたり、ディズニー・パーク&リゾートのカレッジ&インターナショナル・リクルーティングのディレクターを務めていた。

 

 

取材協力=CareerXroads
TEXT=小林誠一

2015年10月29日