Column

米国労働省の6条件をクリアした場合のみ無償インターンシップが可能
米国労働省の賃金・労働時間局は、以下の条件がすべて満たされた場合にのみ、無償インターンシップを許可するとしている。

  1. インターンシップが雇用主の事業施設での作業であっても、教育環境における訓練と類似のものであること。
  2. インターンシップ体験がインターン生の利益となること。
  3. インターン生は正社員に代替するものではなく、既存スタッフの密接な監督下で働くこと。
  4. 訓練を提供する雇用主が、インターン生の活動から直接的な利益を得ないこと。また、その業務が実際に妨げられる場合もあること。
  5. インターン生は、インターンシップ終了時に必ずしも就職を約束されていないこと。
  6. インターンシップ中の労働時間には賃金が発生しないことを、雇用主とインターン生が理解していること。

上記の6条件を満たさずに無償インターン生を悪用した雇用主をめぐって訴訟に発展したケースが多発し、無償インターンシップは大きく評判を落とした。さらに、最大の問題点は、有能ながらも経済的な理由で無償インターンシップに参加できない学生たちがおり、そんな人材を人気企業は組織的に差別していると見られてしまったことである。そのため、フォーチュン500に入るような主要企業は、無償インターンシップを廃止する動きに出ている。

グローバルインターンシップはレベルの高い学生の関心を呼ぶ可能性がある
アーンスト・アンド・ヤング社のアメリカ大陸採用ディレクターを務めるダン・ブラック氏は、インターン生の少数は、国際的な経験を積む機会があると言う。一方、ディズニー社の新卒採用部長クリスティ・ブリーン氏は、毎年米国で雇用する約2万人のインターン生のうち6,000人は、海外からの人材であると言う 。グローバルインターンシップは、米国では例外的でユニークである。

外国籍の学生の有償労働には様々な法的制限があることが、グローバルインターンシップが普及しない一因である。けれども、米国籍の学生が国際的な就労体験を積めるプログラム、また、米国で学ぶ留学生あるいは他国の学生が米国で就労体験をできるプログラムは、きわめて大きなアドバンテージとなる可能性がある。ブランディングという点から見ても、そうしたグローバルインターンシップは、最高レベルの学生の関心を惹くのではないだろうか。

English Version

 


ジェリー・クリスピン氏
CareerXroads共同代表Gerry Crispin

国際的に知られるHR分野の講演者、著者及びオピニオンリーダー。人材調達モデルの最新動向についての調査・研究、HRプロフェッショナルやクライアントとの情報・意見共有・交換を行っている。また、採用プロセスにおいて候補者をパートナーとして扱う企業の選考及び顕彰を目的としたCandidate Experience Awards(www.thecandes.org)を運用する非営利団体TalentBoardの創設メンバーとしても活躍している。

 

マーク・メーラー氏
CareerXroads共同代表
Mark Mehler

数十年にわたり人材採用の最前線に携わった後、現在、採用テクノロジーの最新動向と、その企業戦略・戦術への応用の検証に取り組んでいる。また、キャリアプランニング及び配属、契約リクルーター、エグゼクティブサーチ、採用広告展開及び人的資源管理などの経歴を生かし、世界的な優良企業にアドバイスを提供している。採用テクノロジーの黎明期からその進化を追い続けており、その洞察は、企業及び主要メディア媒体で定期的に求められている。

 

脚注:
※1 日刊紙ボストングローブのオンライン版Bostonglobe.comは、2014年5月2日に“Are teen jobs becoming a luxury good?”(10代の若者の就業は、贅沢品になりつつあるのか?)という記事を掲載し、ティーンエイジャーにとって就業体験とは、時間を守る大切さや、コミュニケーション能力などの“ソフトスキル”を養う機会であり、それが失われることによる影響に対して懸念を表明している。

※2 Jeylan T. Mortimer著 “Working and Growing Up in America (Adolescent Lives)”(Harvard University Press 2005年刊)。1,000人の学生を高校入学時点から20代半ばまで追跡調査した縦断研究に基づく。

※3 実習期間を短くする、夏期休暇を実習期間に充てるなどして4年で卒業可能なプログラムもある。

TEXT=小林誠一

2015年07月24日