Column

3.労働時間関係
(1)労働時間
基本的には1日8時間、週40時間と労働時間法により定められているが、パン屋のような特殊な職業によって部分的に例外がある。また、3週間当たり120時間、あるいは2週間当たり最高80時間という例外もある。それ以外に病院、船、酪農業などでの雇用では例外がある。

(2)残業の取扱い
残業は従業員の同意を得た上で、暦年で最高250時間まで。しかし、4カ月に138時間を超えてはならない。

4.休暇制度関係
(1)休暇制度
4月1日から3月31日の間に24日~30日有給休暇を取得できる。日数は月当たり2日(同じ事業所に12カ月以上連続で勤務した場合は2.5日、すなわち年30日)と算出される。基本的に夏季休暇として5月2日から9月30日の間に24日間、冬季休暇として6日間の休暇消化が奨励されている。冬季休暇は同一職場に1年以上勤務すると取得資格を得る。夏季休暇を5~9月の間に最低2週間連続で取得すべきとする法令もあるが、労使協定や企業側との同意が優先され、多くの場合、職場で業務に支障がなく、同意が得られれば1年間に有給日数を消化すればよい。有給休暇とは別に病気休暇が取得できるため、病気やけがなどで欠勤しても年次有給休暇が減らされることはない。病気休暇については、法令では1カ月につき9日間は有給で取得可能。また、労使協定により、通常、給与の50%が7月の給与に上乗せして休暇手当として支払われる。

(2)病欠
従業員が病気になり働くことが不可能になれば雇用主に連絡した後、職場を休める。雇用主は、9日を超えないなら、その範囲でこの間の給与を全額支払う義務がある。雇用して1カ月以内の場合はその支払いは50%。9日超になると国民健康保険の取り扱うところとなり、対象者は所得の損失補てんの疾病手当が60日受け取れる。この時、申請者はフィンランドの居住者でなければならない。フィンランド国民の場合は特段の要件はない。

(3)産休
妊娠した従業員は産休が取れる。産休をとり始める少なくとも2カ月前に雇用主に申し出る必要がある(出産予定日の3~4カ月前)。産休は父親にも適用され、18日間の出産休暇が取れる。産休は180日間で、母親はこの産休期間中、国民健康保険から産休手当が支給される。この手当は給与額の約55%にあたる。この間に雇用主が給与を支給することはあまりないが、昇給は普通である。

5.賃金関係
(1)最低賃金
雇用契約法によると給与は労働の対価として支払われるものであり、給与はその労働に通常見合うものでなければならないとされている。雇用主は労使協定に最低賃金の根拠を求めるべきとされ、もしそのような規定が無い場合には、同法では「通常の正当な賃金」と規定している。

(2)時間外手当
残業は最初の2時間は時給の50%増、それを超えると100%増。残業手当を支払わない場合はそれに見合う労働時間を休むことができる。

(3)社会保障費
社会保障費はフィンランドで働くすべての者のために支払わなければならない。雇用主のレベルに応じて3つのカテゴリーがあるが、最も一般的な場合では給与の21.1%(2002年)が社会保障費に支払われる。内訳は雇用主が16.7%、従業員は4.4%負担。給与のグロスにより計算し、従業員負担分が徴収される。その他、失業保険が同様にあり、雇用主0.7~2.7%(支払給与額により変動)、従業員負担は0.4%である。また労災保険(0.357~7.269%)及びグループ保険(平均0.086%)は雇用主が全額負担(いずれも事業所により異なる)する。

6.労使紛争解決のための法的手続き
雇用契約、労働条件、不当解雇、差別などに関する紛争は地方第一審裁判所で取り扱われる。公になるのを避けるため調停で解決されることがあるが、どの労使協約が適用されるべきかという紛争の場合は労働裁判所で取り扱うこととなる。

出所 岩井晴美・独立行政法人日本貿易振興機構海外調査部欧州ロシアCIS課アドバイザーの解説・資料より作成
独立行政法人日本貿易振興機構「欧州各国の雇用制度一覧」(2009年8月)より作成

2015年05月21日