Column

3.高失業の実相
失業率をみると、数字上ではスウェーデンは日本に劣っているが、高失業率の主因は若年者の失業にある。その背景には解雇規制の問題(last in first out(※3))や高い最低賃金がある。しかし、見かけほど深刻ではなく、1年以上失業している者は人口比で日本よりも少ない。スウェーデン特有の若者のライフスタイルの影響もあるので、スウェーデンの雇用情勢は比較的良好といえる。
※3 最後に雇用された者から先に解雇される

4.積極的労働市場政策(ALMP)の実情
日本に比べGDP比で7倍に上るALMP(※4)予算が産業構造転換につながる労働移動を可能にしている。しかし、90年代にはALMPの中心であった短期の職業訓練の機能が低下したほか、就業インセンティブを殺ぐような失業保険制度の設計により有効性が低下した。スウェーデンには中立の立場で労働政策の分析を行う政府機関があり、その評価を踏まえてプログラムが見直され、最近では再就職支援サービスが注力されているほか、大学などで行われる、より長期の教育訓練に重点をシフトしている。
※4  Active Labor Market Policyの略。労働者に職業訓練や職業紹介を行い、雇用主には労働者雇用に関する助成金を支給するなど、労働市場に積極的な働きかけを行う政策。

5.スウェーデンモデルの教訓~経済再生・物価安定に向けたポリシーミクス
(1)インフレ目標導入とマクロ賃金調整機能の再建
80年代は賃金決定のセクターレベルへの分権化、インフレ率を加速させる政策を、90年代にはインフレ目標導入、マクロレベルでの賃金調整機能を復活させる政策をとった。

(2)産業構造転換を支える労働力移動の円滑化
労使協調による事業再編とALMPの組み合わせ、およびALMPの中身の継続的な見直しを行った。

(3)財政再建と経済成長を支援する社会保障制度改革
保育政策・ALMPの充実をはかるとともに、社会保障制度の抜本改革・民間委託により公的支出を削減した。その背景には、ソーシャルパートナーとして国家デザインの一翼を担う労組の存在がある。

2015年04月30日