Column

2.労働市場の特徴
(1)就労に対する強い社会的規範
女性の積極的社会進出を背景に15~64歳の就業率は先進国では高いグループに位置する。 “Arbetslinjen”という「就労が社会保障給付の条件」という考え方がある。

(2)高い組合組織率を背景とした労使自治
労働組合の組織率は約7割(日本は2013年で17.7%)。1938年のサルトショーバーデン協定(※1)以来、法律よりも協約を重視するという労使自治の伝統がある。

(3)労働移動促進の仕組み
レーン・メイドナー・モデルとよばれる社会横断的に賃金格差を小さくする連帯賃金政策により低生産性部門から労働力を吐き出させ、積極的労働市場政策を通じて高生産性部門に移動させている。
余剰人員は整理解雇の合理的な理由として認められる一方、離職者の再就職を企業が拠出した資金により運営される非営利組織(TRR(※2)、TSL)が支援している。

(4)産業を跨ぐ労働移動の実現
スウェーデンでは日本よりも産業構造転換のスピードが早く、雇用構造も変化する。1970~80年代は製造業の雇用シェアが低下するなか、介護・保育分野をはじめとする福祉サービスの充実により、この分野で雇用を創造。
90年代からは外資導入やITインフラ投資により製造業をグローバル化させることで復活させ、事業サービス・教育など、そのサポーティング分野で雇用を創造。05_02_2
(5)競争促進的なビジネス環境
経済政策面では、低い法人実効税率などグローバル化への積極的対応、規制緩和の進展が特徴的である。ボルボ社の乗用車部門の買収にみられるような経営危機に陥った民間企業を公的に救済しない点も特筆される。

(6)ダイバーシティーがもたらす高い生産性
北欧は女性活用により高い一人当たりGDP(就業率の高さ+高い生産性)を実現。その背景には、労働時間の男女間格差の小ささがある。

※1  1938年にSAF(スウェーデン経営者連盟)とLO(労働組合総連合)により締結された協定であり、労使協調による合意形成モデル。
※2 1974年にホワイトカラー部門における労使協約によって設立された非営利組織(NPO)で、加盟企業の賃金総額の0.3%の拠出金によって運営されており、政府からの財政的な支援はない。加盟企業がダウンサイジングを行う際の再就職を支援する。コーチングサービスのほかに、失業時の収入の補てんも行う。失業保険給付には上限があるため、失業前の賃金の70%との差額をTRRが支払う。ただし、それは最初の6カ月月間で、その後はその割合は低下する。サービスを受ける上限期間は2年。

2015年04月30日