リクルーティングの未来 ~グローバル人事 最前線~ 毎月更新 全21回

Vol.18 世界のトップ企業の動向から見えてくる未来(2)

キャリアクロスローズ 共同代表 SHRM(Society for Human Resource Management) 理事 ジェリー・クリスピン氏 (Gerry Crispin)

【団体プロフィール】
  • キャリアクロスローズ(CareerXroads):米国を中心とした人事プロフェッショナルのグル的な存在で、HRの各種コンサルティング、特に最先端のテクノロジーを駆使したHRにも詳しい。約80社の大手企業が参加する「コロキアム(Colloquium)」という会合を中心に、人事・採用などに関するベストプラクティスを共有。
  • SHRM(Society for Human Resource Management):米国人材マネジメント協会。世界最大規模のHRに関する調査や提言、情報交換などを行う団体。1948年米国で設立され、現在は中国やインド、アラブ首長国連邦など世界140カ国575カ所に支部を持ち、25万人以上のメンバーが参加している。

世界のあらゆる地域で採用スキルが求められる

これまでの10年よりも、より大きな変化が、今後10年で起きると確信しています。
その一番の要因として、グローバル企業における人材の多様化が挙げられます。

たとえば、IBMのような多国籍企業の場合、これまでは従業員の大半は本社所在地である米国に住んでいました。実際、IBMは全従業員の60~70%が米国民でした。しかし、将来的にその比率が逆転し、85%を米国外居住者が占めるようになると発表しています。

そうなれば、企業の採用方法や求める人物像が大きく変化するのは当然です。そもそも、人事やスタッフィングを率いるリーダー、多くの異なる文化や国々で人材を発掘できるリクルーターをどこに置くべきかも考える必要があります。

人事リーダーやリクルーターには、数多くの異なる文化や法律・規制に関しての豊富な知識や理解とともに、それらに基づいた従業員管理への対処も必要になるでしょう。当然、語学力やあらゆる世界の文化理解はリクルーターにとって重要なスキルとなります。

人材育成を念頭に置いたポテンシャルを見分ける目が重要になる

これまで、米国でのリクルーターに求められたことは、即戦力となる人材の発掘でした。しかし、現在の教育制度は、必ずしも即戦力となる人材を育成しているとはいえない部分があります。そのため、多くの企業で「人材を育成する」という視点が重要になると、私は考えています。

当然、リクルーターも人材育成の視点が必要になるでしょう。将来自社で活躍できるポテンシャルを持った人材をいかに発掘し見分けるかということが、リクルーターにとっては大きな課題になると思います。

リクルーターと人材育成担当者との連携も必要になりますし、事業に合わせた採用活動を行うためのコンサルティング力と交渉力が不可欠になると思います。また、ポテンシャルを評価するための技術や知識も重要なスキルになるでしょう。

若年者へのアプローチや情報提供が変化する

特に大企業においては、将来を担う若年者への理解とアプローチを真剣に考えるべき時に来ていると思います。

現在の若者の多くは、インターネットをはじめとしたさまざまなネットワーキングによって、国境や文化などを超えた世界への理解や大きな可能性を手にしています。彼らは、その気になれば小さな企業で働きながら十分に生計を立てる力を持っています。

そのため、単に企業名やブランド力だけでは若者をひきつけられなくなったと思います。彼らのニーズをしっかり把握し、自社で働くことの意味や意義をしっかり伝えることが重要になるでしょう。

そして、多くの求職者が企業のことを事前に十分理解し、その企業に適しているかどうかを求職者自身が見極められるような仕組みも必要になると考えられます。そのため、事業に沿った採用戦略と広報活動を行う能力が、今後のリクルーターには不可欠になるでしょう。

Page Top