Column

多様化するフレキシブル・ワークの活用法
在宅勤務とフレックスタイムが定着した理由として利用単位を10分単位にしたこととフレックスのコアタイムを廃止したことも見逃せない。朝の空き時間や夜の家事が終えた後に小刻みにパソコンを立ち上げて仕事ができたり、外出先からわざわざ会社に戻らなくても近くの事業所の出張者スペースで事務処理を行って、そのまま帰宅することができるようになった。上司にはあらかじめ在宅勤務の申請を行うが、子どもの突発的な病気などの場合は当日の申請も可能など柔軟な運用とした。実際に使った社員の声をイントラネットで紹介することで、「あんなに成果を上げている人が、実はこんな使い方していたんだ」という理解が広がった。当初は女性の事例が多かったが、次第に共働きで夫が週に何度か保育園への送り迎えをする「イクメン」なども登場するようになってきた。

「女性社員がその部署で自由な働き方の先導役になり、男性社員がそれを見て働き方を真似る。結果的にそれで部署全体の生産性が上がるという好循環が生まれています。私自身も何か集中して考えたい時などは、あえて別の事業所の出張オフィスに行き、電話も会議もシャットアウトした状態で仕事をすることがあります」(千部長)。
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「イノベーティブな時間をつくれ」
サントリーの新浪剛史社長が最近よく口にするメッセージが「イノベーティブな時間をつくれ」だ。朝から晩まで仕事に追われるだけの毎日では、新しい発想や価値のある提案はできない。「それを実現するにはあえてイノベーティブな時間をつくり、人間力を上げろということです。そのための柔軟な働き方であり、生産性アップによる労働時間の削減です」と千部長。同社にはサントリーホールやサントリー美術館もあり、そうした文化施設の利用も社員に勧めている。

「仕事にだけ時間を使うのではなくてプライベートも充実させていくことでその人自身が幸せになり、仕事でもいい効果が発揮されるようになる。結果的にサントリーという会社も強くなっていく。そういう姿を目指していきたいと考えています」と千部長。6500人の社員が自由に働き、さらなる生産性を追求することで社員と会社がwin-winの関係となる。そうした状態を実現することが、同社がグローバルなステージで勝つためのカギとなっていく。

 


サントリー03千 大輔氏 プロフィール
サントリーホールディングス株式会社
人事部部長

略歴:
1995年   サントリー株式会社(現サントリーホールディングス株式会社)入社。神戸支店配属。酒類営業担当。
2001年   同人事部に異動。労務を担当。
2007年   サントリービア&スピリッツ株式会社(現サントリー酒類株式会社)近畿営業企画部に異動。
2011年   同社近畿圏支社営業推進課長に就任。
2015年   サントリーホールディングス株式会社人事部に異動。企画・労務課長に就任。
2016年   同社人事部部長に就任。

2016年07月05日