研究プロジェクト

調査データ

書籍・提言

機関誌 Works

研究所について

  Home
寄稿 Works Institute
リクルートワークス研究所
 

“IT進展と雇用活性化”を考える視点

ワークス研究所 研究員
土肥正和


2000 年 8月 10 日

 ITと雇用問題を考える際、対象となる人材マーケットは決してひとくくりに捉えられるものではないことに注意する必要がある。人材を軸にしてみると、概ね下図A〜Cの3つの領域が考えられる。
 IT産業である“領域A”は、いわゆるITの商品やサービスを生み出している領域で、まさに優秀な人材の獲得競争がみられる領域である。“領域B”は、非IT産業でありながらIT技術を取り込んでいく必要のある領域。“領域C”は、IT産業の商品やサービスを利用することで新たに雇用が生まれる領域である。求められる人材のスキルは、個々の領域でそれぞれ異なっている。
 たとえば、領域Aでは人材獲得競争の対象となる“ハイスペックな技術者”(ex.マイクロソフトの支度金付き募集)。領域Bでは“技術力を持ちつつビジネスフレームも立ち上げられる人材”(ex.テレビ業界初のフジテレビジョンのASP事業参入)。そして領域Cでは、急速にEC化するサービス業界や流通業界などで新たに必要とされる端末オペレータなど“パソコン機器操作のできる人材”である。


人材供給の鍵を握るのは“能力開発”

 今後のITと雇用を考えるうえで、重要なのは言うまでもなく能力開発である。(IT労働市場 能力開発整備への処方)で述べられているのは、領域Aにおける能力開発に早急に手を付けなければ、早晩、業界全体がひいては日本が立ち行かなくなるという警鐘である。
 労働市場全体でみても、ITの進展と雇用の活性化をうまく連動させるためには人材供給源が早急に整備され機能することがポイントとなる。ただし、前述したようにそれぞれのマーケットサイズや求められる人材スキルの違いを踏まえたうえで個々の領域に向けた効果的な施策をうつ必要がある。労働省の謳うパソコンソフト操作習熟を中心とした“すべての人のIT化対応策”では領域A・Bへの“IT技術者”供給は期待できない。また、法政大学による日本初のIT分野専門大学院は、領域A・Bへの人材供給を視野においたものと言え、大きな期待が寄せられるが、こうした能力開発の試みはまだ緒に就いたばかりのものも多く、実際には量的にも質的にも現実の求人需要に追いついていないのが現状である。

ITを軸としてみた日本の労働市場の俯瞰



 
>> HOME RECRUIT